戦闘開始-2

団員三人は相変わらず檻を引っ張っており、檻ごと何処かへ移動させる気だ。
バショウは二点の特殊な反応の根源が何処にいるのか、目を凝らして探索していた。
その間に画面のとある一点が高速で中央に移動しているのをバショウは見逃していた。
紐を必死で引っ張る団員三人の内の一人に、突然何かが噛み付いた。

「うわ!!」

バショウはそれを聴いて、何事かと視線を檻の方向へ移動させた。
団員の一人がイーブイに噛まれていた。
檻の柵には内側から飛び掛かると高電圧が掛かる仕組みになっている為、脱走は不可能な筈だ。
つまりこのイーブイは檻から脱走したイーブイではない。
更にこの付近には野生のイーブイは確認されていない。
このイーブイは一体何処からやってきたのだろうか。

「この野郎!」

腕を噛まれた団員はイーブイを振り払い、蹴り飛ばした。
苦しげな声を漏らしたイーブイは、一度は倒れたものの、即座に起き上がった。
檻に入っているイーブイたちは大勢で鳴き始め、必死で助けを求めた。
今までに何度も脱走しようと試みた事によって電圧が掛けられたのか、身体の傷が痛々しかった。
小夜のイーブイは捕獲された際の自分を思い出す。
自分も助けて欲しかった。
それ故に小夜が制止しようとしたのも聞かずに、此処まで飛び出してしまった。

「ゆけ、ストライク!」

団員の一人がポケモンを繰り出した。

「ストライク、連続斬りだ!」

ストライクが命令を受けて高く飛行し、イーブイに向かって腕を振り上げた。
イーブイは身体が動かず、がむしゃらに飛び出してきた事を後悔した。
だが突如虹色の光線が空を斬り、ストライクに直撃した。
イーブイはこれがスイクンのものだとすぐに気付いた。

「オーロラビームですね。」

バショウは依然として冷静なまま呟き、飛行船の上から団員を見下げていたのを止めて地表に降りた。
ストライクは目を回して転倒し、動かなくなってしまった。
団員はそれを悔しそうにボールに戻した。
バショウはやっと団員たちに命令を下した。

「オーロラビームの方角にレーダー探知機が大きな反応を示しています。

応戦の準備を。」

バショウは冷たく言い放つ一方で、内心では複雑に思考を巡らせていた。
オーロラビームは特殊な二点の方向から放たれていた。
レーダーの画面を見ると、特殊な二点は先程の位置よりも此方寄りの場所に移動している。
三点が集中して反応していたが、今はその一点が消えている。
このイーブイは特殊な反応の傍にいたイーブイかもしれない。




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