※京都姉妹交流会では選手の人数を合わせる為、一人勝手に(オリキャラを)追加して7人での交流会として進めさせていただいてますのでご了承下さい。 「どうした名前?寝られなかったのか?」 交流会当日。 京都校の選手たちと会う為にやってきた会場で落ち着かなそうに視線をうつ向けている名前に向け、恵は心配そうに声がけた。 五条に直接稽古付けされていた名前とは日中離れている時間も多く、恵は常々心配していた。 稽古終わりの名前を部屋に呼んでみてもそわそわしていたり、何かを話したそうにしつつもきゅっと口を閉ざすという日々も何度か見ていた為、悠仁が亡くなった事で夜になると気持ちが不安定になるのかもしれないと思い、恵なりに一緒にいる時間を増やしてきたつもりだった。 「…ううん、そうじゃないの。大丈夫!」 恵の視線を受け、慌てて首を横に振り微笑む名前。 思わずそんな名前を恵が引き寄せた時、 「来たぜ」 真希の言葉に顔を上げれば、京都校の選手である七人が現れたところだった。 「あらお出迎え?気色悪い」 真希の双子の妹である真依が先陣を切ってそう言うと、真依の隣にいる東堂が名前の存在に気付いてニイッと口角を上げた。 「ようやくご対面か。この間出向いた時には会えなかったからな」 「噂の子だネ」 「確か“赤血操術”が使えるんじゃなかった?」 東堂、メカ丸、真依と続き、真依が加茂の方を見遣ると、加茂は珍しく開眼してじっと名前の方を見ていた。 「だとしたら何?」 「名前の事悪く言うなら黙ってないよ?」 「しゃけ」 それを受け野薔薇、パンダ、狗巻も名前を庇うように立ち、恵も引き寄せた名前の肩を抱く手に力を込めた。 「はーい。内輪で喧嘩しない」 そこへ間延びしたような声がかかったかと思うと、顔に大きな傷のある女性─── 準一級術師であり、京都校の引率者でもある庵歌姫が現れた。 そして、 「おまた────── !!」 庵に続いて響いてきた声は五条のもので、五条はガラガラと大袈裟な音を立てて大きな箱の乗ったカートを運んできた。 そして京都校の選手たちに奇妙な人形を手渡した後、ジャーン!と言ってカートで運んできた箱を開ける。 「故人の虎杖悠仁君でぇーす!!」 おっぱっぴー!!と言って飛び出してくる悠仁と、静まり返る現場。 「…めぐ、み」 愕然としている恵の袖を引き、申し訳なさそうに眉を下げる名前を見て、恵はそういう事かと事情を理解した。 「知ってたのか」 まあ本当に生きてたんだとしたら、アイツは名前にだけは黙ってねえかと納得する恵。 だから妙にそわそわしてたのかとか、何かを言いたそうにもしてたのかと得心のいった恵は、名前の肩を抱いていた手を外してその背を押した。 事情はアイツに洗いざらい吐いてもらうからと続ければ、名前は困ったように眉を下げつつ、ありがとうと返して悠仁の元に駆けて行った。 「どういう事だ…?」 名前に抱き着かれている悠仁を見て。 驚いたようにそう呟いたのは、京都校の学長である楽巌寺だった。 「そりゃ驚きますよね?殺し損ねた名前に続いて、殺したと思っていた筈の悠仁まで現れたんですから。びっくりして死んじゃったらどうしようかと思いましたよ」 「糞餓鬼が」 眼前まで顔を近付けてニヤつく五条を睨みつけ、凄まじいまでの殺気を放つ楽巌寺。 けれども五条は全く気にすることなく、瞳に当てた布に手をやってククッと笑った。 「これは忠告だジジィ。アンタらが保身の為に何度新しい事企んだとしてもな、無駄なんだよ。悠仁も、名前も。もうそう簡単にはいかない」 「口を慎め!」 「おー怖。けど最後にこれだけは言っとかないとと思ってね」 更に鋭さを増した楽巌寺の眼光におどけつつ、けれども五条は片手で目隠ししている布を引き上げ、冷徹さを隠そうともしない碧眼で真っ向からその視線と対峙した。 「次名前に手出しやがったら、そん時は僕も容赦しないから覚悟しときなよ。おじいちゃん」 その矛先は楽巌寺にだけでは無い。 そう思わせる程の気迫で凄んだ五条を、楽巌寺は彼が去るまでずっと睨みつけていたのだった。 ×
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