「……ッう……」
目を覚ましたのは太陽の光や、ましてや鼻をくすぐる朝食のいい匂いなどでもなく、痛みを訴える腰の激痛からだった。
「…っ!」
その痛みの原因である昨日の事が頭に蘇ると…名前は勢いよく自身の右拳をベットへと叩きつけた。
怪我の痛みからでも、今しがた殴りつけた拳の痛みからでもなく、ただただ悔しさからの涙が視界を滲ませた。
─── こんなのってない!!こんなっ、
「い゛っ…!」
それは訓練による痛みなどではなく、男に抱かれた代償としての下半身の痛み。
無理矢理男根を受け入れされたが故のその痛みは、心の痛みとしても名前の中に深く暗くその根を残していた。
─── 悔しい!!悔しい悔しい悔しいッ!!!!
その原因であるジンの姿は見えないが、もし出掛けていたとしても安易に名前が逃げ出したり出来ないよう、何かしらの策はしてあるのだろう。
もしくは監視カメラなるもので今も見られているのかもしれない。
だが、そんな事になど構っていられなかった。
「……っぅ、ひっく……」
名前は自分の両親の顔を写真ですらも見たことがないし、恐らくもう生きてはいないのだろうが…その情報についても何一つとして知らなかった。
唯一分かっている事といえば、恐らくジン達黒の組織と何かしらの繋がりがあった人達なのではないかという事くらい。
きっとそれ故名前は幼い頃からその身を狙われ、昨日まで死にものぐるいで組織の追っ手から逃げてきたのだと思う。
FBIに保護されてからは更にその身を護る為に銃の撃ち方、急所の狙い方、そして中でもスピードにおいては右に出るものがいない程、特訓に特訓を重ねてきたのだ。
─── それなのに…!!!
「くそっ!!!!」
整った顔立ちと、生まれ持っての華奢な体躯。
どんなにその身に鍛錬を重ねようと、一度捕らえられ、スピードを殺されてしまえば男相手には抗えないし、名前が望まずとも、その顔立ちと体躯は否が応にも“男達”に狙われてしまうのだ。
赤井にはそうした接近戦に持ち込まれないよう、銃を持ち歩く事も勧められていたのだが、いくら訓練で銃の腕を上げようと、名前はそれらを所持するのが嫌だった。
…そんな甘い考えだったからこそ、今回のような事になってしまった訳なのだろうが────
「っッ、」
力の入らない腰と足を無理矢理動かし、名前はなんとかベットの縁に腰掛ける事に成功した。
無理矢理抱かれただけでなく、強制的に空けさせられたボトルのアルコールにより、頭も酷く痛む。
「…え?! な、なんだよ…これ…!!」
至るところにジンが付けたのであろうキスマークが散る体を見て、名前は驚愕に目を見開いた。
自分の迂闊さと弱さに吐き気がする。
「おい」
「!!」
そこにてっきりいないと思っていたはずのジンの声が響いたもんだから、名前は反射的に勢いよく顔を上げてしまい、眩暈がした。
「起きて着替えろ。出掛ける」
「!」
こんな状態で出掛けられるはずがない。
名前が黙って動かないでいると、ジンは乱暴に名前の腕を掴み、シャワールームへと連れていった。
「やめっ! …離せよっ!!!」
暴れる名前をジンは乱暴に浴室へと放り込むと、痛む頭と腰をなんとか支えつつ、殺気立った視線を送ってくる名前に正面からシャワーの湯を浴びせかけた。
「なっ…!! ふざけんっ……?!!」
慌てて身を逸らし、浴室から出ようとすれば突如として壁に押し付けられ、唇を奪われた。
抵抗しようと上げた手も頭上で一纏めにされ、深く深く口付けられる。
痛みに呻く声すらも舌と共に絡め取られようとしたから、
ガリッ!!
「ハッ、ハァっ…」
「…っとに、躾のなってねぇガキだな…!!」
「うッ!!」
ジンの舌を噛んで拒絶を示せば、一瞬のうちに気道を絞められ、グッと力を込められた。
「かっ…はっ!……んんんッ!!!」
首を締められたまま再度舌を絡ませられ、強く吸われる。
苦しくて足をばたつかせると、その足の間にジンの片膝が割入ってきて、無防備なそこをグリグリと刺激してきた。
「や……めっ…!! っ!」
苦しくて、痛くて。
今すぐにでも締められている首によって意識を飛ばしたい所なのに、ジンの膝が突き上げるようにクリトリスを刺激してくるもんだから、それすらも叶わない。
「……なんっ、なんだよ一体っ……!!」
こうまでして無理矢理抱く意味がわからなかった。
そうまでして屈辱を、羞恥を。
痛みまでをも植え付けたいというのだろうか。
「たまんねぇなァ…その顔」
「ッアアッ!!」
首にかけていた手を外されかと思うと、するりと秘部に埋められる長い指。
それが探るように名前の内部で蠢き、声を殺して耐える名前を嘲笑うかのように、昨夜散々散らされた弱点をいとも容易く探し当ててきた。
「やああぁああぁっ!!!……ッ!、そ、こっ やめ…やアぁッ!」
昨夜と同じくコリコリとしたその一点のみを目掛けてジンの指は激しく出し入れを繰り返し、名前がやめるよう訴えても、一向に聞き入れてはくれなかった。
「もっ、イキたくっ、ない!!」
「イけ」
「やあああッッ!!…お、ねがっ、ッたいっ、痛いっ…!」
ガクガクと強制的に追い詰められる体。
しゃがみこむ事も許されず、ほとんど力の入らない体を頭上で纏められた両手だけで無理矢理支えさせられている状態であるのだ。
昨日のように何度もイかされ続けたりなどしたら、今度こそ本当に立てなくなってしまうかもしれない。
グヂュッ!ジュッ!じゅぷ!!
「っ!あぁっ!!…やっ、はぅっ!!…ッあああああああああああああぁっっ!!!!!」
その恐れから名前は必死にイくのを耐えようとしたが、体は覚え込まされた絶頂に抗えず、簡単にイかされてしまった。
ビクンッと背をのけ反らせ、絶頂を迎えた名前の中からズルリと手を引き抜くと、間髪入れずにその体を四つん這いにさせ、大きくなった自身のモノで一気に突き刺すジン。
「ッやぁぅっ!!!」
力の入らない名前はお尻だけを無理矢理持ち上げられるような形で、痛みに呻く間もなく激しく腰を打ち付けられた。
「ハッ…いい眺めだな」
「やっ、めっ…!!…ぬいっ、てっ!!あぁっ!!」
後ろから両腕を引っ張られ、再奥を抉るようにして何度も何度も突き上げられる。
それでもジンのテクが上手すぎるのが、こんなに乱暴に責められ、追い詰められているのにも関わらず名前の体は絶頂へと…突かれるところは的確に名前の体を快楽へと導いていった。
「やだやだやめろよもうっ……!!抜、け……っ?!!」
「ここか…」
「 アッ、!あぁっ!!…ふっ、あっ!!ひゃんんっっ!!!!!!!」
「くっ!」
名前が絶頂を迎えたのと同時、ジンも外に欲を放ったのだった。
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