(ルシウス先輩って、
なんだかおしるこに似てますよね!)
(おしるこがなんだか知らないが
すごく不愉快なのはなぜだ?)


和菓子イズム


かなり夜遅くまで響いてしまった。月に一度の監督生同士の話し合いなんて無駄でしかないのに、グリフィンドールのアーサー・ウィーズリーのせいで毎度長くなる。談話室に戻ると、いつものことだが人はいなかった。
と、思ったら少女がソファにちょこんと座っているのが目にはいった。

「ナマエ」

声をかけると少女がゆっくりこちらを振り返る。両手でお気に入りの、淡いピンクのティーカップを持っていた。

「ルシウス先輩、お帰りなさいっ」

彼女はナマエ・ミョウジ。
私の一つ下の四年生。
ホグワーツで只一人の日本人だった。
ふと、持っているカップの中身を見て眉をひそめる。一昨日も飲んでいたソレはひどくティーカップとミスマッチだった。

「またソレを飲んでいたのか」
「え?あっ…ルシウス先輩が来る前に飲んじゃおうと思ってたのに…」

カップの中身は、おしるこ。(というらしいが果たしてきちんとした飲み物なのか疑わしい)

「カップで飲むなとあれほど言ったろう…」
「だってこのカップ気に入ってますし!」

ルシウス先輩も飲みますか、と進められたが丁重にお断りした。

「隣、座っても?」
「どーぞ」

真ん中に深々と座っていたナマエが少し横にズレた。ゆっくりと腰かけると溜まっていた疲れが抜けていくようだった。

「お疲れ様です。大変ですね、毎月」
「ああ、あのウィーズリーのおかげで私の自由時間は削られる一方だ」
「自由時間っていっても先輩は勉強してるか私とお茶を飲んでいるかじゃないですか」
「ふん」
「ふんって…」
「私は別に勉強の時間が削られるのに文句を言っている訳ではない」
「それじゃあ…」

彼女が戸惑うように目を泳がせて焦ったようにカップに口をつけた。
どこまでも事実を信じないつもりらしい。
唇を横に結んで微笑み、彼女をぐいと抱き寄せた。

「ルシウス先輩、」
「どうした」
「あの、これどういう状況ですか?」
「まだ分からないのか」

顔を近づけると彼女の頬が、彼女の持っているカップと同じ色になった。

「―…分からせてやろう、」


和菓子イズム
(甘い、甘い、上品な)
(彼女はどこまでも甘い、)
(やっぱり先輩はおしるこに似てる)


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