「あ、レギュ!あそこのソファ空いてるよ!早く早く!」
「ナマエ先輩、そんなに急がなくてもソファは逃げませんよ」

そう言って笑いながら、レギュラスは私の横に腰を下ろした。自然と距離が縮まり、暖炉の炎よりも身近に暖かさを感じた。もっとも、人肌の温もり以外に私が凄くドキドキしているせいも有る。レギュラスと、恋人同士として過ごす初めてのクリスマス。やっぱり、先輩後輩としてワイワイ騒ぎながら過ごすクリスマスとは雰囲気が違ってちょっとだけ緊張した。

「あ、雪ですよ先輩」

ナマエの横顔越しに窓を見つめてレギュラスが呟く。その声にナマエは窓の外に目を移した。レギュラスの言ったとおり、黒と濃紺のグラデーションがかった空に綿毛の様な雪がふわふわと舞っている。

「ホワイトクリスマス、だね」

レギュラスに向き直りそう言うと、彼は照れたように視線を逸らしてナマエの手に自分の手を重ねた。

「指先だけ、冷たいです」
「冷え性なの。だから冬は手が凍えそう」
「……これからは、僕が温めますよ」
「レ、レギュ、今日は積極的だね」

いつもは優しいけど少しクールな彼の行動に、頬がかぁっと熱くなる。けれど指先はじんわりと温められ、その差に何だか頭がぼーっとした。

「先輩」
「ん、なに?」
「……楽しいですか、僕といて」
「うん。楽しいよ、すっごく」
「どうして?」
「……それは……」

重ねられていただけの手が、ぎゅっと握られた。その手が少し汗ばんでいたけど、全然嫌じゃなかった。逆に、彼も緊張しているのかなと思って少し嬉しくなった。

「去年より、笑ってないなと、思って」
「そ、そうかな……」
「もしかしたら僕といるのが楽しくないんじゃないかと、思ったんです」

レギュの気持ち。普段はなかなか聞けないだけに、新鮮な気がする。でも、何だか胸が締め付けられた。私の態度が、レギュを不安にさせていたんだ。

「私は、レギュラスといて楽しくないなんて思ったこと一度もないよ」
「……」
「今日は、初めて二人過ごすクリスマスだから……緊張しちゃって。ごめんね、レギュ」
「……謝らないでください、ナマエ先輩」

俯き加減だった彼の顔が、まだ不安の混じる表情で私を見つめた。その姿がどうしようもなく、愛しいと思った。

「僕、先輩のことが大好きです」
「私もだよ、レギュ」

不意に抱きしめられた肩の向こう側の窓の外では、相変わらず雪が降っていて、凄く幸せな気分になった。

「明日は二人で雪だるまを作ろっか」
「え?」
「とびっきり、特大のやつ。で、すっごく冷たくなった私の指をぽかぽかに温めて!」
「……はい、先輩!」


はっぴーはっぴー、
ほわいとくりすます!

聖なる夜に、誓い。



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