「どう思う?ピーター」
「えっ?あ…ごめん、聞いてなかった」
「お前最近ずっとこんな感じだよなー」
「んー……」

シリウスとジェームズが顔を見合わせ、リーマスは僕を見て微笑んだ。その怪しげな笑みのまま、彼は言った。

「ピーター、君恋してるんじゃない?」
「…え?」

こいしてるきみ

僕は、恋をしてるのかな。リーマスはただ笑ってるし、ジェームズとシリウスはリーマスの言ってる事は完璧に的外れだって言ってる。でもなんでかリーマスは自信満々で、以前より僕を見ている回数が多くなった。多分、好きな人を当てようとか、そう思っているんだと思う。当人の僕に思い当たる節が有るのかと言われれば、有るのかも知れないし無いのかも知れない。…って言うか、僕が気付いていないのにリーマスに分かるのかな?そんなだからか、ジェームズとシリウスは僕が恋をしているはずがないって言い張るんだ。確かにジェームズみたいに、リリー!って名前を叫びたくなるくらいムズムズした時は無いし、リーマスは恋をしていない(と思う)から、恋をしている(シリウスは達人)二人ならそう言うのも当然なのかな。考えれば考えるほど分からなくなってきた…。これじゃあ上級変身術の勉強をしていた方がまし…なんてのは冗談でも言えないけど。

「ピーター!」
「やあ、ナマエ」

女子寮から小走りで降りてきた彼女を見て自然に笑顔が零れる。ぽかぽか暖かい春の日差しのような彼女の笑顔が、僕を照らした。視界の隅にほらね、と言いたげなニコニコ顔のリーマスが映った。

「お天気が良いし、散歩でも行こうよ」

そう誘ってくれたナマエが、テーブルに広げてあった僕の教科書をパタンと閉じた。やりかけの上級変身術の宿題だったけどまあいっか、なんて思ってしまう。

「おいおい、ピーター!」
「今日は僕達と提出期限が明日までの宿題をやるんだろう?」
「お前が午後に宿題を教えてって言うから、俺デート断ってきたんだぜ?」

そうだった、と後ろを振り返ると少し怒った表情のシリウスにジェームズが腕を組んで立っていた。

「君達はアレなのかい?ジェームズが鹿だからシリウスは馬かな?」

その後ろには顔は笑っているのに…なリーマスが。

「リーマス、俺は馬じゃなくてい「はいはい、分かったから」

行ってきなよ、とリーマスが言った。再びナマエの方を向くと、戸惑い気な彼女が笑った。

「迷惑だったかな?」
「そ、そんなことない!」

マジかよ、わお…なんて後ろから聞こえてきて、リーマスに睨まれてる二人が口をポカーンと開けている。…ねぇ二人とも、分かったなら教えてよ僕バカだからまだ分かんないよ、

「じゃあ行こっか!」
「―…うん」

この気持ちは、恋なの?


こいしてるきみ
ずっと一緒にいられたら良いのに、って、思う時が有るんだ。


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