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臆病な森山の話

「なあ、お前まだアイツと住んでるの」
問題の核心から少し離れた質問をしたのは、傷付けたくなかったからじゃない。
ただ、俺が傷付きたくなかっただけだ。
「ああ、アイツ器用だからな」
結構便利だぞ、と酷い言い草で笠松は平静を装った。
だから俺も、ふーん、とさして興味は無さそうに返事をした。
「黄瀬といえば、」
そう言って笠松は、奴の最近の仕事について語り始め、話はそのまま流れた。まあ、好都合だ。
一瞬不自然に張り詰めた空気なんて無かった振りをして、笠松は俺の知っている話や、知らない話をした。
大抵が知っている話だ。黄瀬の過去の出演番組も、これからの出演予定も全部俺が知らない筈がないということを、笠松は知っている。

笠松と長い長い間ルームシェアをしている黄瀬は、俺達の高校時代の可愛い後輩だ。18の時に出会って、俺がもう39になるから、かれこれ21年の付き合いになるだろうか?長いものだ。
その間に黄瀬は



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テーマ「人外ファンタジー」
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