▼ ▼ ▼


ナーサリーライムと人柱

少女と手を繋ぎ、童謡を口ずさみながら、くるくる回る。お揃いの金髪が跳ねる度に、ヂクヂクと胸が傷んだ。西洋人への無意識の憧れと相俟って、年端も行かない女はとても可憐に見える。それと並んで全く引けを取らない男は、人種が違うのにまるで血の濃い親子のようだった。ネイティブな英語で舌足らず

に紡がれるナーサリーライムは、何度も繰り返し落ちる橋の物語を紡いでいる。歌詞の最後で必ず、男が、まるで本物の娘にするように愛おしげにワンフレーズを囁くのが耳元で聞こえる。なんて映画のように美しい光景なんだろうか。実際に映画の一コマではあったけれど、こうも繰り返されるとただの悪夢だ

。本当に忌々しい。そろそろ起きなくてはいけない気がすると、俺は踊り続ける男の腕を掴んで抱き寄せた。少女は愛らしい顔を悲しげに歪ませる。ああ、俺もお前に逢えなくて哀しいよ。でも、今は俺の胎の中で眠れ、マイフェアレディ。さあ、何度でも。






------------------------------
ロンドン橋は落ちるし、君は生まれない



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -