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底に沈む

【底に沈む】(@AinohaCherry )
空気が重く動く気配がして、目が覚めた。すぐに端末の画面が小さく灯る。ベットサイドのランプぐらい、つけてくれたって構わないのに。闇の中で、充電器のプラグを差し込みながら静かに作業す
#リプきたタイトルで書く予定のない小説の一節を書く

る背中が、酷く疲れて見えて腕を伸ばしたけれど、背中がベッドに張り付いて届いてはくれなかった。のそのそと、ゆっくりと音を立てないようにベッドに潜り込んだ手が俺の腕を持ち上げて脇へよけてから絡み付いた。俺の体はまだ夢の中で、寝返りも打てなかったから

ゆっくりと親指で繋いだ手の甲をなぜた。
「起きちゃった?」
気遣わしげな声に唸りで返す。小さく笑った口元が目尻に寄せられたので、目を閉じたまま顎を上げた。


唇で顔の輪郭をまさぐると、冷えた口付けが与えられた。冷たい唇を温めようとして食むと、絡んだ指先が僅かに熱を帯びる。満足して唸ると、吐息が笑みを含んだ。
重たい瞼と腕をようやく持ち上げると、泣きそうな顔をした男が覆いかぶさっていた。思わず、目尻を撫でる。そこはしっとりと潤っているだけで、いつもの風呂上りの肌だった。
「……こっち、」
髪に指を差し入れて、肩口に引き寄せると子供のように擦り寄ってくる。それがとても可愛いなと思った。
「なんでバレるかな」
小さな声がそう言って笑うので、髪を撫でた。
「もう、ねろ」
「このままじゃ重いっすよ」
構わずに、唸り声で返すと、体温の重みが増す。体の凹凸がぴたりと合わさって、俺は安心して意識を手放した。




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