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頬に三日月

貴方はにゃおの黄笠で『頬に爪を立てる』をお題にして140文字SSを書いてください。 http://shindanmaker.com/375517

今日は1日オフだと聞いていたので、玄関を開ければそこに笑顔の黄瀬がいると思ったのだ。
今、現実は美しい顔をしてソファで眠っている。
「こんな日に限って……ばかやろ」
静かに呟いて、穏やかな頬を一撫でした。滑らかな皮膚は少しも動かない。
「早く起きろよ」
俺は白いそこに爪を立てた。




『頬に三日月』

肩と手が痺れて、熱い。
それに我慢が出来なくなって、俺は瞼を持ち上げた。
腕の方を見やるといきなり至近距離に黒い塊が現れて、寝ぼけた頭でビックリする。
「、あ、ああ、帰ってきてたんすか?全然気付かなかった……」
思わず掠れた声で話しかけるも、背を向けた人からは答えは無い。
ソファの側面と俺の肩に体を預けて、待ち人は眠っている様だった。ソファから落ちた腕に、彼の腕が絡んでいた。珍しい。起こさないようにとゆっくり腕を動かすと、俺の指の間に潜り込んだ指がしっかりと握り込まれた。
「どーしたんすか?」
答えが欲しかった訳ではなくて、でも思わず言葉が漏れた。この人の、こんな姿は珍しい。
静かに頭を撫でると、目の前の首筋が緩んだ気がした。

どうして俺は、この人の帰りを待っていてあげられなかったんだろう。




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