二人でいつも一緒に帰える道

晴矢の漕ぐ自転車に背中合わせで乗って

ずっとバカな話してた


でももうできないんだよ。だって、





もう俺の出る幕はない





「守ー!!晴矢くん来たわよ!」


下から母さんの声が聞こえる。
いつも通り。
俺がそれを無視して布団に潜り込むのも

「お前いい加減自分で起きろ!」

「無理ぃー」

幼なじみの晴矢が、潜り込んだ俺の布団を剥ぐのも

「早く支度しろよ。遅刻すんだろ」

仕方ねぇなぁとかいいながら、俺のネクタイ締めんのも
遅刻しそうになって学校まで自転車走らせるのも
ギリギリ教室に二人で滑り込むのも


全部ぜんぶいつも通り。

でももう違う。違うんだ。


「はるやぁー今日部活終わったらさ」

「ん?」

「一緒に買い物「晴矢くん!」

ほら、


「おお、どうした?」

「晴矢くん今日部活終わったら暇?よかったら一緒に買い物行かない?」

「おーいいよ」

「やったー!んじゃまた後でね!」


ほら、


「ごめんごめん!んでなんだっけ?」

「いや、なんでもないや」






俺の入り込む隙間なんて、もうないんだから