01/俺はそんなに弱くないから




どいつもこいつも円堂円堂円堂……
おめーらはそれしか言えねーのかよ!!ってくらい口を開けば円堂の名を口にする面々。
若干宗教じみてる。怖い。

あの堅物鬼道くんも円堂目当てで雷門中に編入するしまつ。
まじ円堂教すげー。


なんでだか知らねーけど、雷門中に関わった奴らは決まって円堂に好意を抱く。


(意味わかんねー)


俺には円堂の良さがいまいち分からないでいた。



「不動!そんなとこ居たのかよ!!」

探したんだぞ!なんて、誰も頼んでないのに見つけたとか言って俺の隣に座る。

「いいのかよ?あいつらから離れて。そのうち死に物狂いで探しにくんぞ」

「ははっ!!そんな俺ガキじゃないし大丈夫だろー」

あーほんと鈍感ってたち悪いよな。

「んで?なんか俺に用?」

「いや、用っていうかなんというか……」


珍しく口をもごもごさせて言葉に詰まる円堂。

「……なぁ不動はさ、俺らと居て楽しい?」

「はぁ?」

「俺は不動と居ると楽しいけど、不動は練習終わるとすぐどっか行くし……楽しくないのかと」


楽しいか楽しくないのかと問われると、正直微妙なとこだ。
てか俺あいつらから嫌われてるっぽいし。俺もあいつらと馴れ合うつもりもない。

でもあいつらとやるサッカーは好きだ。
なんでか知らないけど。


「……べつに普通だけど」

「そっか。じゃあ、俺不動が今より楽しくなれるように頑張るよ!!」


いきなり意味の分からない事を満面の笑みで言い出す。
てか、それはお前が頑張ってなんとかなるもんなのか?


「え、いや、別に頼んでないから」

「俺がそうしたいの!だって楽しくサッカーしてないと、練習もただキツイだけだろ?」

「おれは、そんなやわじゃない」

「でも楽しんでやったほうが絶対良いって!!」


「だから不動も一緒にみんなのとこ戻るぞ!」


ぐいっと俺の手を引っ張って持ち上げる。
そのまま手を繋いで歩きだした。

「おい!手離せ!!」

「駄目だ!離したら不動逃げるだろ?」

「逃げねーよ!」


そういって、でもおれは大きな手をすこしはなしがたいと思ってしまった。





(ってなにほだされてんだ!!俺!)








うっかり円堂教に入会するとこだった不動くん。

続きます。


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