手を繋ぎたい理由




吹雪の手は冷たい。
手というか全身冷たいんじゃないかと思う。
そんな死んでる人みたいに、ってわけじゃないんだけど。

それでも偶然触れた吹雪の手の冷たさは忘れられない。


特にこんな暑い日には


「そんなわけで、はい!」

「……ごめんキャプテン。どんなわけかよく分からないんだけど」

ジリジリと夏の日差しが降り注ぐ道路の真ん中で

勢いよく差し出した手をまじまじ見つめて、吹雪がぽつりと返した。

「だーかーらー!吹雪の手冷たいイコール保冷剤みたいな!!」

「保冷剤……」

「あ、保冷剤は違うか。うーん、上手く言えないけど夏は特に吹雪と手を繋ぎたいんだよな!」


ってこの言い方もなんか違うかな?
俺がぐるぐる考えてると突然吹雪が笑い出した。


「はははっ!!あーでも、それはちょっと悲しいかな?」

「なんでだ?」

「だって僕は暑い日も寒い日も、毎日キャプテンと手を繋ぎたいのに」

「っ!!」

「でもキャプテンは暑い日にしか僕と手を繋ぎたくないんだよね」

悲しいな、なんて目を伏せるもんだから慌てて吹雪の手を握る。

「ち、違うぞ吹雪!俺はそんな意味で言ったわけじゃ」

「じゃあ冬になっても手繋いでくれる?」

「もちろんだ!!」

「ふふっ。ありがとうキャプテン」


二人でひとしきり笑うと、手を繋いで歩きだす。

うん。やっぱり冷たくて気持ちいいな吹雪の手。


(あれ?でもなんかだんだん暖かくなってくような……)



「ねぇキャプテン」

「うん?」

「僕が大好きな人からあんなに求められて体が反応しないと思った?」



そう言われて俺の体は焼き付ける太陽の日差しくらい暑くなった気がした







恥ずかしいよ吹雪くん!
サラっと最後にエロっぽいこというスタイリッシュエロな吹雪くんが好きです。