お題 | ナノ


「あ」

おれに腕を掴まれたレッドが一言そうこぼす。
そして次の瞬間には、いつも無表情で色なんてほとんどつかないレッドの顔が赤く染まっていって。

(ああ、だめだ)

それを冷静に見つめると、レッドは赤い顔と同じ赤い瞳を戸惑ったようにぐるぐると泳がせる。

「…っ…」

何か言いたそうに口を動かすけれど、それは声にならず、酸素と窒素にかき消されていく。
そして泳ぎ疲れたのか、赤い瞳がおれを見てきた。

(ああ、だめだだめだ。
それに気付いてはいけない)
(じゃないと、)

その紅玉に映るおれは、一体どんな顔をしているんだろう。
笑ってる?怒ってる?泣いてる?喜んでる?

「…っ…」

きっと、酷い顔してるんだろう。

(じゃないと、)
(もう逃がしてあげられなくなるから)




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