枯れた樹(3/4)
そこに、ハルルの村長が現れた。
「お三方は、一体何をなさっているのですか?」
その問いかけにはエステルが答えた。
「樹が枯れた原因を調べているんです」
「難しいと思いますよ。フレン様にも原因まではわからなかったようですから」
この二人が追うフレンという人物はどうやら偉い人物らしい。
わたしはひとつの顔が思い浮かんだ。
まさか、と思い雑念を頭から振り払った。
そこに少年が下を向いてとぼとぼと歩いてきた。
少年の姿を見ると、エステルが話しかけた。
「あ、カロル!カロルも手伝ってください!」
「…なにやってんの?」
少年名前はカロルというらしい。
こちらに顔を向けるが、まるでこの世の終わりといった顔をしている。
「ハルルの樹が枯れた原因を調べているんだそうです」
「なんだ、そのこと」
そう言うとまた、うつむいてしまった。どうやら原因を知っているらしい。
「なんだ、じゃないです」
「理由なら知ってるよ。そのためにボクはエッグベアを……」
この件とエッグベア、何の関係があるのかと疑問に思ったが、それはユーリが代弁してくれた。
「ん?どういうことだ?」
「土をよく見て。変色してるでしょ?」
皆変色している地面を見つめた。
どうやらあたしの勘は間違っていなかったらしい。
「それ、街を襲った魔物の血を土が吸っちゃってるんだ。その血が毒になってハルルの樹を枯らしてるの」
「なんと!魔物の血が……。そうだったのですか」
村長は驚いた後、先ほどの出来事を思い出したのか暗い表情を浮かべた。
『なるほど、これは魔物の血だったのか…』
誰にも聞こえないように小さな声で呟き、変色した土をざり、と撫でた。
「カロルは物知りなんですね」
「ボクにかかれば、これくらいどうってことないよ」
そうは言うものの、カロルの表情は依然として変わらない
「その毒をなんとかできる都合のいいもんはないのか?」
「あるよ、あるけど……。誰も信じてくれないよ……」
カロルを見かねたユーリが側に寄り、屈んで目線を合わせる。
「なんだよ、言ってみなって」
「パナシーアボトルがあれば、治せると思うんだ」
「パナシーアボトルか、よろず屋にあればいいけど」
パナシーアボトルは状態異常・状態変化を治す万薬だ。
ユーリはすく、と立ち上がった。
「行きましょう、ユーリ、アスカ!」
走り出したエステルを見て、ユーリと顔を合わせお互い苦笑いを浮かべるが、エステルの後を追った。
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