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「かおちゃーん」
「どうしたの?」
「かおちゃんは、佳香ちゃんのママたちみたいにいちゃついたりしないの?」
春うららかなある日。
可愛い我が子にこんなことを聞かれ、私は固まってしまった。
なばと静さんが仲がいいのは、知っていた。
佳香ちゃんの家から帰ってきた美静の話をよく聞くし、結婚前から2人がいちゃついていることは知っていた。
だけど、こんな質問をされたのは初めてで、どう答えたらいいか解らなくなってしまった。
「かおちゃん?」
不思議そうに見る美静をただ黙ってみつめていれば、佳奈ちゃんが美静を抱っこする。
「香里ちゃんは、私とイチャイチャしてるよー」
「ほんと?」
「美静には早いから秘密にしていただけだから」
「ナイショにしなくていいのにー」
ぷくっと、真っ赤な頬を一杯に膨らませる美静はやはり可愛い。
「私も香里ちゃんも、美静とイチャイチャしたいんだよ?」
「じゃあ、イチャイチャするー」
そういって佳奈ちゃんに抱きつく美静はキャッキャッと笑う。
そんな我が子と佳奈ちゃんに抱きつく。
「私もまぜて?」
「かおちゃんもイチャイチャしよ?」
「よーし!今から2人で香里ちゃんにイタズラしようか?美静」
「うんっ!」
離れようと後ろに下がるが、そこにはソファーがあり。
後ろに倒れる形で、私は逃げ場をなくした。
佳奈ちゃんと美静は、こういうときは妙にコンビネーションがいい。
「かなちゃん!なにすればいい?」
「とりあえず美静は香里ちゃんの上に乗って逃げられないようにして」
「うん!」
ピョンと私の上に乗る美静は、嬉しそうに笑っていた。
まぁ、たまにはいいか。
最近、仕事ばかりでさみしい思いをさせていたから。
さらさらの髪を撫でると、くすぐったいのか身体をよじる。
本当に美静は可愛い。
私と佳奈ちゃんの子だと思うと、愛しさが溢れてくる。
「香里ちゃん、私のこと忘れていたでしょ?」
そんな言葉が顔の横から聞こえれば、私の視界は真っ暗になった。
数秒後に視界は明るくなったが、息苦しさと同時に甘い味が口内に広がった。
「香里ちゃん、ご馳走さま」
「佳奈ちゃんっ…!」
「ずるいー!美静もかおちゃんに、チューする!」
「じゃあ、美静は香里ちゃんの頬にチューしてあげて?」
「うん!」
毎度のイタズラに苦笑しながらも、そんな日常が幸せで。
「好きだよ、香里ちゃん」
「かおちゃん、だいすきー!」
なにより、大好きな人たちがいてくれるから。
この幸せがいつまでも続きますように…
【つづく、かも】
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