5
「かおちゃん…」
目を擦りながら、香里ちゃんの名前を呼ぶ美静。
「どうしたの?」
「眠たい…」
ふぁ…と小さな口をいっぱいに開けば、目を閉じる。
「ごめんね。私、いまちょっと手が離せないの」
そういう香里ちゃんの手には食器とスポンジが握られていた。
「じゃあ、私が連れていくよ」
小さな体を抱き上げると、香里ちゃんに微笑む。
ありがとう、と小さく笑う香里ちゃんに背を向けて寝室へと向かう。
3人が一緒に眠れる大きなベッドの真ん中に寝かせた。
「かなちゃん、ありがと」
「どういたしまして」
虚ろな瞳で私に例を言う美静の髪を撫でて、私は、トントンと優しく美静の背中をたたく。
「今日も素敵な夢が見られるといいね」
「うん…」
「ね、かなちゃん」
「なに?」
私の手をきゅっと握ったまま、眠そうな声で話す。
「ずっと、美静といっしょにいてね」
「ずーっと一緒だよ」
私の言葉に満足したのだろう。
満面の笑みを浮かべた後、すぅすぅと寝息が聞こえた。
「…おやすみ、美静」
額にキスしてから、音をたてないように静かに寝室を後にした。
リビングへと戻ってくれば、ソファーに横になる香里ちゃんを発見。
どうやら、洗い物を終えた後、ソファーに座ったまま、横に倒れる形で寝てしまったらしい。
まったく、無防備な私の奥さん(?)だ。
「香里ちゃん」
「…うぅん」
肩をたたくが、それが鬱陶しいのか私に背を向けるように寝返りをうつ。
「起きないと…いいの?」
まったく反応がない香里ちゃんに微笑むと、そのまま形のいい唇に顔を近づける。
1秒、2秒、3秒…と唇を重ねたままでいると、香里ちゃんが苦し気に目を覚ました。
「っは…佳奈ちゃん?」
いまいち今の状態がわからない香里ちゃんは、私の肩をつかみ抱き締めた。
「おはよう」
「あれ、私…」
「ソファーで寝ていたんだよ」
「あ、そっか」
半分寝惚けているため、香里ちゃんは隙だらけで。
そんなチャンスを私が逃すわけもなくて。
「ねえ、香里ちゃん。楽しいことしようか?」
そう微笑む私の顔に、これからなにをされるかを察知した香里ちゃんは離れようと身動ぐ。
「美静がいるから…」
「もう寝たよ?朝までぐっすりだから、ね?」
頬を染める香里ちゃんにそっと口付けて、そのままソファーへと押し倒した。
まだまだ夜は長いですよ?香里ちゃん
【つづく、かも】
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