視線


隣にいたのは私だけど、貴女が誰をみていたかなんて視線の先を追えばすぐに解ることだった。
隣に立つ特権を得ているからこそ解ること。
いつもはからかうようなことばかり言うけれど、やっぱり見つめるその目はとても優しくてあの子になれたらどれだけいいだろうと思ったの。
こっちを見てと叫ぶほどに私は子供でもなく、だからといって彼女の恋を応援できるほど大人の余裕というものは残念ながら持ち合わせていなかった。
けれど、みきちゃんがとても嬉しそうに笑う姿が見れるならそれでもいいかなあと思ってしまうくらいには大人でもあった。
ううん。やっぱり諦められない。
けれど想いを伝えるほど私は勇気もない。結局この関係が心地よいのだ。
もちろん彼女の特別になれたなら、私は幸せなことには間違いないのだろう。
それが、例えばの話で私が告白をしたとして彼女が万が一自身の想いを封印して、付き合ったとしたらそれはなんというか悔しい気持ちになる。
だって、やっぱり大好きな人と特別な関係になりたい。
自分が本当に望む人と共にいたいと思うのはごく自然なこと。

「もう、またはるちゃんたら」
ねえ、知っている?
貴女が彼女の名前を紡ぐとき、とってもとっても愛が混じる声になるのよ。



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