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「美静おいしい?」

「おいしいよ、かなちゃん」

もぐもぐと小さな口でご飯を咀嚼しながら、美静は満面の笑みを浮かべた。

そんなかわいらしい我が子の様子を見る、私と香里ちゃん。

美静は2歳に成長した。

まだ言葉はしっかりとしていないけど、私と香里ちゃんのことを

かなちゃん、かおちゃんと甘い声で呼ぶからよしとしよう。

昔から子供は可愛いと思ってはいたが。まさか自分の子になるとここまで愛しくなるとは。

 

「美静、口にソースついてる」

親指の腹でソースを拭う香里ちゃんはもう立派な母親で。

まあ、やや過保護だなと思う。

これが世間でいう親ばかっていうものなんだけど、本人は気付く気配なし。

 

「かおちゃん、ありがと!」

にこ、と笑われるだけで香里ちゃんの頬は一気に緩む。

これでもかというくらい、緩む。

 

「香里ちゃんにやけすぎ」

「だって、美静が・・・・」

言っているそばからこれだ。

この先、美静が成長して、恋人を連れてきたとき。

はたして香里ちゃんは、平常心でいられるだろうか。

もう、私は反対だから なんて言いかねないんじゃないかな、なんて思うわけで。

 

 

 

そんな和やかな空気が広がる中、インターホンの音が響く。

はい、とインターホン用の受話器を取る香里ちゃん。

その画面に映る1人の少女は私たち夫婦がよく知る女の子だった。

 

急いで玄関のカギを開け、中へと入ってきた少女は。

仁美と静の娘で佳香ちゃん。

「ごめんなさい。こんな遅くにお邪魔して」

「いいよいいよ。どうせ仁美と静がいちゃついてるんでしょ」

言葉をはさむように告げれば、佳香ちゃんは、困ったように笑った。

出来のいい子だなと思う分、まだ4歳の娘に気を遣わせてどうすると思う。

 

まだ軽いその体を天井に届くってくらい高く抱きあげれば微笑む。

「佳香ちゃん可愛いー」

「あ!佳奈ちゃんずるい」

さっそく香里ちゃんがくいついた。

香里ちゃんは親ばかだけど、佳香ちゃんに対しても親ばかぶりを発揮する。

 

仕方ないなって言いながら香里ちゃんに佳香ちゃんを渡せば、これでもかってくらい嬉しそうに笑う。

「あー佳香ちゃん可愛い」

頬ずりをする香里ちゃん。

そんな表情を私にも向けてくれればいいのに、ってなに妬いてるんだろう。

 

「かおちゃん、かおちゃん!美静も佳香ちゃんにギューってする」

「はいはい」

床へと下ろされた佳香ちゃんは、美静に体当たりされる形で抱きつかれた。

こうしてみると、やっぱりちっちゃい子が仲良くしている姿は癒される。

 

「美静ちゃん」

「なに?」

「なんでもない」

嬉しそうに笑う佳香ちゃんは、美静の背中に遠慮がちに腕をのばした。

そんな控え目な態度に、可愛いなと目を細めながら私は、2人を抱き上げた。

 

 

「アイス食べる人ー」

 

「「はーい!」」

 

「はい!」

元気よく返事をする子供たちに混ざり、香里ちゃんも元気よく手をあげて返事をした。

 

 

【つづく、かも】

 



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