うた

全てが輝いたように見えた世界。
物語のように楽しい時間の中で出逢ったのは美しい人。
歌うことが大好きで、自分の歌を常に新しく素敵に輝かせようと頑張る奈々さんに、何時からか惹かれていた。


あれからもう数ヶ月たったけど、思い出は未だに輝き続けている。
「佳香ちゃん?どうしたの」
惚けていた私に微笑みながら顔を伺う奈々さん。

「なんでもないです」
「そう?すごく幸せそうに笑うから何かいい事でもあったのかと思った」
あえて言うなら、奈々さんと一緒にいられることが幸せなことなんだけど、恥ずかしいから秘密にしておこう。


「やだ。佳香ちゃん、そんなこと考えてたの?」
照れているのか頬を染めながら笑う奈々さんに、私は首を傾げながら問う。
すると、頭を撫でられてもう一度微笑まれた。

「考えていること口に出していたよ?」
「えっ!本当?…恥ずかしい」
「佳香ちゃんは可愛いですね」
よしよしと頭を撫でられながらも、幸せを感じてしまう。


「私も佳香ちゃんと一緒にいられて幸せだよ」
「ありがとう。奈々さん」


奈々さんのこういう優しいところがとても好き。
綺麗に笑うところが好き。

「佳香ちゃんは、放っておけないんですよね」
「わたしだって、やるときはやるよ!」
「知ってる」
クスクスと笑われて、なんだか照れ臭くなった。


さりげなくサポートしてくれる奈々さんのためになにかしたいけど、何も思い付かない。
沈黙を続ける私を心配してか、奈々さんが私の左手を掴んだ。
「…せっかくのデートなんだから、楽しくすごそう?」
「デ、デート!?」
「あれ、違ったの?」

だって佳香ちゃんは私のこと好きなんでしょう?



可愛らしく首を傾げられ、わたしの顔が真っ赤になったのは言うまでもなく。

「なんでバレちゃったの?」
「佳香ちゃんの考えてることなんてお見通しですよ」
笑いながら、奈々さんは私の手を掴む力を強めた。


「私、佳香ちゃんのことずっと見ていたんだよ?」
「わ、私も見ているよ?」
2人で笑いあいながら、ゆっくりと歩き出した。


神様。
神様。
ありがとうございます。
心がとても温かくて、幸せでいっぱいです。




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うちでは珍しい奈々さま夢でした


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