好きで

酔った勢いで好きと言った。
我ながらずるい、と思う。


「じゃあ、付き合う…?」
私と同じように酔っていた佳香が笑って私に口付けた。


酔った勢いで恋人になった。
まるでどこかの漫画みたいに。







「美静」
「なんで、すか…」
にやりとなにかを企むように笑う佳香が私の腕を掴み、壁へ押し付けた。
お酒の力によって、くらりと目眩がした。
私の瞳に移る佳香は、妖艶という言葉が似合うくらいに綺麗に笑った。


「服、きたらどうですか」
はぁ、と息を切らしながら下着姿の彼女へと言葉を投げる。
「いや」
「なんで、ですか」
近づかないで
ドキドキして、くるしい

「だって、着替えてる間に美静が逃げてしまうから」


酔っているんですか
問いかける私の言葉を無視して、無理矢理唇を重ねる。
苦しい
甘い

それなのに、私は目の前にいる彼女がいとおしくて仕方がなくて。



「好き、好き、好き」
三回続けていった後、彼女はその場で崩れるように私へ倒れてきた。

「美静」
「ね。私、あのとき本当に嬉しかったんだよ」
私の目を見据える彼女の綺麗な瞳からは、雫が溢れる。
「酔ってるって解っていたけど。嬉しかったの」





「そばにいてほしいよ」
懇願するように私に抱きつく彼女の背に腕をまわす。

「いるよ。ずっと」
大好きなのは、私もだよ
彼女に囁く。



こんどはちゃんと言うから
だから聞いて


「ね、付き合おうか」
不安なのは、私もあなたも一緒だった。
笑うあなたが誰よりも好き。


「いいに決まってるよ」
「知ってる」
くすくすと笑いあう、この時間が幸せだ。


えんど

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