豆乳
仁美さんがここ最近豆乳ばかり飲んでいる。
理由を聞いたら、胸を大きくしたいらしい。
私としては、今のままでも充分だと思うのに。
本人は納得していないようだ。
「仁美さん可愛い」
「そうかな?」
「うん。可愛い可愛い」
頭を撫でると仁美さんはほんのりと頬を染めた。
しかし頭に乗せる私の手を振り払うとそっぽを向いてしまった。
「私のほうが歳上なんだよ」
「それがどうしたんです?年齢がなにか関係あるんですか?」
「佳香にはお姉さんらしく接するようにしているのに…。佳香のほうが落ち着いてる」
「そんなことないですよ」
仁美さんの言動1つ1つに、私は振り回されている。
後ろから包みこむように抱き締めると、ふ、と微笑んだ。
「仁美さんは可愛いから」
「なにそれ」
「だから、もっと甘えてほしいです」
「…良いこといいながらも、さりげなく胸に手を伸ばさないでくれないかな」
「いいでしょ?」
「よくない!」
そんなことをいっても、私には肯定しているようにしか聞こえないわけで。
「まぁ、仁美さんがDになってもならなくても私は仁美さんが好きだよ」
「…なにそれ」
「ふふ」
だって、今こうやって抱き締められる瞬間が幸せだもん
囁くように言えば、仁美さんは黙ったまま俯いてしまった。
「仁美さん?」
「…佳香なんか嫌い」
「私は好きですよ」
「…どS」
「仁美さんはMですね」
反論しようとこちらを向いた隙に、唇を重ねる。
仁美さんは世界一可愛い。
【おわり】
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