生天目家

「佳香〜」

自分の声が廊下にさみしく響く。

「ただいま〜」

しばらく玄関で待っていれば、大好きな妹はため息をつきながら出迎えてくれた。

「おかえり…仁美姉」

「ただいまあ〜」

抱きつこうと手を伸ばせば、ぴしゃりと手の甲を叩かれた。

「いたい…」

「毎回抱きつかないでくれる?うっとおしい」

そんな反抗期な妹の言葉に心を痛めながらも、私は決してくじけない。

だって、大好きな妹と交流する数少ない機会なのだから。

 

「いいでしょ、別に〜」

「いや、よくないから」

「静のところの妹さんは静ラブなんだって」

前に自慢されたことを思い出した。

たしか、静と私が一緒によくでかけていた時期に、すこしだけ妬いてくれたらしい。

それを嬉しそうに語る静も、姉バカだなあーと思ったのはここだけの秘密だ。

 

「まあ、静さんがお姉さんならシスコンにもなるでしょ」

「私は?」

「仁美姉は…仁美姉は姉らしくないから」

「えー」

「毎回心配で仕方ないんだからね…転んでそうだし、けがしてそうだし・・」

語っている途中で、口元を押さえると佳香は、その後無言になり私に背中を向けた。

 

 

「ちょっとま…」

「用がないようだし、私部屋に戻るから」

そう言って制止する声を無視して、大好きな妹は去っていってしまった。

「せっかく佳香の好きなプリン買ってきたのに…」

 

 

 

 

「なんで仁美姉はあんなに可愛いのだろう」

日々思っていた。

幼いころからずっと思っていた。

自分より年上で頭もよい姉。

だけど、どこか抜けていて、優しくて、騙されやすくって。

そんな姉が可愛くないわけがない。

 

「今日も私のためにプリン買ってきてくれるし…」

それに私の出迎えをまつ姿とか可愛すぎるでしょ・・

あのときの表情の変わり方といったら、反則的だった。

 

「また仁美姉に冷たくしちゃったし…どうしよう」

悶々と考える。

嬉しくてつい笑ってしまいそうになるのを止めようとすればするほど、口からはそっけない言葉しかでてこないわけで。

 

 

「佳香ー」

「ひ、仁美姉!?」

「一緒にプリンたべよー?」

 

可愛い笑顔を浮かべながら、両手にプリンを持って部屋に侵入してきた大好きな姉。

 

「ちょ、なに勝手に入ってきてるわけ…」

「いいじゃん、たまには姉妹みずいらずで」

「必要ないでしょ。。」

ああ、またこんなことをいって。

本当は嬉しくて仕方ないのに。

 

だけどそんな姉は気にしないそぶりで私の隣へと座ると、プリンをスプーンですくい取ると、はいと口元に押しつけてきた。

「なに?」

「はやくしないと美味しくなくなっちゃうから」

 

「それなら仕方ない…」

ぱくりとプリンを頬張れば、思わず頬が緩む。

 

「おいしい?」

「うん」

「よかった」

満足そうな姉は、うんうんと1人頷いた後、1人で食べ始めた。

 

今なら言える気がする

 

 

 

「仁美姉…」

「なに?」

「いつもありがとね」

 

ぽつりとつぶやいた後、目の前にあったプリンを手に取り、黙々と食べる。

 

視界には、嬉しそうに微笑む姉の姿が映る。

そう、

この顔が私は見たかったのだ。

 

【終】

 

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なば×なば妹も結局相思相愛

デレデレ姉と素直になれない妹

だけど、姉らぶ!

 なばは、知らないふりをしながらも全てをわかっている素敵お姉さんなイメージ。

素直になれない妹さんの性格解ってる優しいお姉さん。

 

おいしいですね^^

 



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