浮つく気持ち

「かーな」
「…なば重い」


只今、私と仁美は京都にきている。
本当は、未祐ちゃんもいたんだけど、都合があって途中で抜けてしまい。
私と仁美が2人きりという状態になった。
とりあえず、ホテルでのんびりして過ごしてるんだけど…。



「なば何したいの…」
「え?いちゃいちゃ?」
いちゃいちゃなら静とすればいいのに。
まぁ、香里ちゃんは私とするから譲れないけど。
「かお…」
「だめだからね」

簡単に香里ちゃんを差し出すわけないのに。
この、色女は浮気ばかりして!
静を見習…いや、どっちもどっちか。


「香里は諦めることにするよ」
「そうして。香里ちゃんは私のだから」

「じゃあ、佳奈だったらいい?」

「えっ?」
返事を返す前に私は仁美に押し倒された。
いつもだったら、私が香里ちゃんを押したおしているからか、慣れないことに狼狽えてしまう。

「佳奈って結構隙だらけなんだよね」
笑う仁美は、いつだったか自称女豹といっていただけあって。余裕に満ち溢れていた。
ああ、困った。
非常に困った。

私は押されると弱い。
だから、自分のペースにして好き放題していたのに。

仁美相手だと、それは上手くいかないわけで。


「私さ、」
「なに」
「佳奈のことも好きなんだよ?」
「浮気者!」
頬に掛かる髪を人差し指で払い、仁美は私の頬に手を添えた。
そんな行動にさえ、びくびくと震えてしまう私は正直言って、訳がわからなくなっていて。

「佳奈は、なんか色っぽいんだよね」


ぎしり、とベッドのスプリングが軋む。
微笑む仁美は、なんともいえない色気を出していて。

色で表すと、香里ちゃんがパステルだったら。
なんていうんだろう、紫に近い桃色が仁美。



気付いたら、力は抜けてしまい腕は動かせないし。
仁美の微笑み1つに胸が高鳴る自分がいて。
こうして、愛人を増やしていくのかと納得しながらも頬に口付けられるとそこに熱が集中した。


「ごちそうさま」
「ばか」
「はいはい」
適当にあしらいながらも、私を扱う手は優しくて。



「仁美」
「どうしたの?」
「ぎゅ、ってしてくれない、かな」
自分でもなにを言っているかわからないくらい、甘い言葉。


「お望みとあらば!」



私を抱き締める腕は、香里ちゃんより少し大人で、余裕で。
甘えることが幸せに感じる。
ごめんね。静。すこしだけ旦那さん借りるね!









「もう観光にいく?」
「いこう!せっかく京都にきてるんだから」
笑う仁美に、私は手を差し出した。

「なに?」
「仁美って、危なっかしいから。手を繋いであげようかなって」
この人は、本当になにをしでかすかわからない。

「ありがとう、佳奈」
ふにゃりと笑う仁美に、私も微笑んで目的地へと向かうために歩き出した。





【終】

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