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今日は香里宅に佳香と遊びに来ている。
「「お邪魔しまーす」」
「どうぞどうぞ」
「いらっしゃい!ひとみちゃん、佳香ちゃん」
香里の隣で可愛らしく笑って出迎えてくれた美静ちゃんに微笑むと、頭を撫でようと手を伸ばす。
ああ、早くこの子が私たちの娘にならないかな。
そんなことを考えていると、香里に軽く叩かれた。
「いたっ」
「いま、やましいこと考えてたでしょ」
「ちがう!」
相変わらず、美静ちゃんのことになると親バカ丸出しだから困る。
「親バカだよねー佳香」
「ふふ。仁美ママも、十分親バカだよ?」
ぎゅっと私に抱きついてきた佳香に、私の頬はさらに緩む。
うん。
親バカにならないほうがおかしいよ。
「なばと佳香ちゃんは、ソファーに座っていて」
「美静が案内するね。かおちゃん」
「お願いね」
こうして、可愛らしい案内人さんに導かれリビングへとたどり着くと私と佳香はソファーに腰を下ろした。
「なばー。佳香ちゃんオレンジジュースで良かった?」
「うん。大丈夫」
エプロン姿で私に問う香里。
こうしてみると新妻みたいに香里が見えてくるわけで。
テーブルにカップを置いていく香里は私の顔を訝しげに見る。
「なば、なに?」
「なにもないよ?」
オレンジジュースを急いで飲む子供たち。
「けほけほ」
美静ちゃんが勢いよく飲み過ぎて、咳き込んだ。
「大丈夫?」
そういって、背中を優しく撫でる香里は立派なお母さんで。
そんな姿が微笑ましくなる。
「佳香ちゃんあっちで遊ぼう?」
「うん!行こう」
ジュースを飲み終え、満足した子供たちは、子供部屋へと去っていってしまった。
つまり私と香里は2人きり。
悪巧みが得意な私としては、このチャンスを逃すわけもなく。
「香里ー」
「ちょ、なばっ…!」
片付けようと立ち上がる香里をソファーへと押し倒す。
「片付けしなきゃいけないから、っ…!!」
香里は、私の愛人。
愛人のことは何でもお見通しなんだから。
わき腹を撫でるように触れると香里はくすぐったいのか身体を震わせた。
…うん。
確実に佳奈好みに変わっていらっしゃる。
昔はここまで可愛く反応しなかったのに。
エプロンを取ろうと手を伸ばしたとき。
ガチャリと扉の開く音と共に魔お…佳奈さまが降臨した。
固まったままの佳奈。
そりゃ、大好きなマイハニーが。
ソファーに押し倒されて、エプロンを脱がされていれば怒るに決まっている。
私の下で、香里が安堵するように微笑む。
これじゃあ、私が悪者みたいじゃない。
とりあえず香里から離れると、佳奈が笑顔で私に近づいてきた。
「仁美なにしてたの?」
「香里と遊んでた」
「香里ちゃん困ってたよね?」
おお、怖い。
まったく、どれだけ香里ラブなんだろうか。佳奈は。
「静は誰の奥さん?」
「私?」
「じゃあ、香里ちゃんは誰の奥さん?」
「か、佳奈になるかなー…」
「うん。だからね」
今までに見たことのないくらい優しい微笑みで、佳奈は私に囁いた。
「あまり度がすぎたことをしたら…次はないからね?」
こくこく、と首を縦に何度も動かす。
今日の教訓!!
香里に手を出したら、佳奈さまが降臨する。
以上!
【つづく、かも】
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