行ってみれば、3体のセカンドタイプが目で確認できた。
…あまり確認したくない見た目だが。
一体は頭が男で首から下が鰐のような爬虫類。
一体は女性の下半身が魚のマーメイド。
もう一体は目を疑うほど胴体、手足が長い。
燿「…さっきの蜘蛛よかマシ?」
神「…大して変わらないだろう。早く済ませるぞ」
シ「ちっ…足引っ張んじゃねーぞ」
斎「…行きましょう」
シノミヤを置いて、七隊はセカンドタイプに向かって飛んで行った。
まずはマーメイドを狙う。
その姿は、おとぎ話に出てくるような優雅で美しい姿ではない。
だが、魚では陸の移動は難しいだろうと思っていた。
ところが。
マ「ぎぃぃぃぃぃぃ!」
腕を使ったとは思えない速さでマーメイドは燿に突撃していった。
うぎゃああああと情けない悲鳴を上げて上空に逃げる燿。
燿「子供が見たら泣くぞー!」
その燿の隣に斎希もやってきて、ため息をついた。
斎「…子供じゃなくても泣くわよ。はあ、夢に出そう…」
無理もない。
下半身が魚の女がまさに死んだ魚のような目で睨みながらずりずりと腕を使ってこちらへ這ってくるのだ。
恨めしそうに二人をにらみつけるマーメイド。
その頭が急に吹っ飛んだ。
見れば、神流が氷の剣についた血をピッと振り払っている。
そして、まだ動いている首を失った胴体を一瞥すると、容赦なくその剣を突き立てた。
神「…この程度の相手に何を手こずっている」
燿と斎希は、神流の淡々とした姿に思わず身震いした。
燿「…子供が見たら、泣くぞ」
斎「…まず、見せては駄目」
同じとき。
爬虫類男に、十六夜と捺波とノアが対峙していた。
遠目からではわからなかったが、口が耳まで裂けている。
十「どうすっかね。捺波、いい案ない?」
捺「…とりあえず、正面は危険」
十「だよねー」
なんて言ってるそばで、ノアが爬虫類めがけて白樺を振り下ろす。
ガキン、とその鱗にはじかれ悔しそうなノア。
シノミヤもライフルの弾を撃ち込むが、目立ったダメージは無さそうだ。
普通の鰐の鱗だって硬いのだから当たり前といえば当たり前なのだが。
十「捺波ー、鰐の弱点てどこ?」
捺「…鼻」
十「コイツに通用するかな」
捺「…確認」
十「んー…あ、これでいいや」
言うなり、十六夜は足元に石を拾い上げ大きなモーションで男の頭の鼻をめがけて投げつけた。
石は見事クリーンヒット、爬虫類は前足で鼻を押さえている。
十「どうかな?」
捺「…あんまり」
わからない、と首を振る。
あんな速さの石が顔に当たったら普通なら死にかねないのに、と捺波は心中でつぶやいたが。
十「あは、じゃーさ。こうなったら…」
ニヤニヤし出す十六夜に捺波も笑って頷く。
十「正面特攻しか、ないよね!」
途端に輝きだす十六夜、単細胞なのである。
しかし、前衛特攻隊長略して隊長の名は伊達ではなく炎を帯びた鉄拳やらで殴る蹴るを矢継ぎ早に繰り出す。
シ「ちっ…邪魔だな、全く…」
スコープを覗いていたシノミヤは、飛び交う十六夜に阻まれて狙いがつかず、忌々しそうに舌打ちをした。
耐えかねたように動かなくなる爬虫類に背を向け、誇らしげに十六夜が胸を張る。
十「やっぱこれが早いよね!」
その後ろでゆらりと動く影。
捺「…!十六夜!」
捺波が声を上げた時には爬虫類は十六夜に襲い掛かっていて、耳まで裂けた大きな口をくあっと開いたとき。
パンッ
発砲音。
シノミヤが間一髪口の中に弾丸をおみまいしたのだ。
セカンドタイプはもがいてゴロゴロ転がり、ジタバタしているところにノアにさっくりと止めを刺された。
シ「…たく、詰めが甘えんだよ」
スコープ越しにシノミヤは息を吐き出す。
十六夜はシノミヤにサンキュー!と叫んだ。
そのあと、ノアにもお礼を言った。
そして、一番厄介そうなのに向き直った。
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