羽「…いくつか質問してもよろしいですか?」
テーブルに、七隊と羽柴は向かい合って座った。
といっても、座ったのは十六夜、斎希、捺波だけで、他の者は立っていたが。
シノミヤとノア、そしてナツキもいた。
すでに簡単な自己紹介は済んでいる。
おそらく現状を一番理解していないのはナツキだろう。
明らかに早すぎる時間で帰ってきたと思ったら女の子が6人もやってきた。
そしてナツキの視線は、なぜか浮いている燿に絶えず注がれている。
羽「単刀直入に聞きましょう。…何者ですか?」
十「…ほんとに単刀直入だな…。私らは七隊。世界のあるべき姿を保つために存在してる」
シ「…火とか氷とか出してたのはなんなんだよ」
ぼそりと放たれたシノミヤの問いに、捺波が無言で手のひらを出す。
その手の上に、見る見るうちにこぶし大の水球ができた。
ナ「ええええ!」
シ「煩えよ、ナツ」
ナ「だ、だって!驚くだろ!普通!」
捺「……」
捺波が開いた手をぱっと閉じると、水球もぱちんと割れて消えた。
神「…こちらも質問がある。…なんなんだ?あの気色の悪い異形は…」
神流の問いに、羽柴が淡々と答えた。
羽「あれは第二形態人種通称セカンドタイプです。詳しいことは省きますが、我々に害をなす存在には違いありません」
神「…ならそこの小娘は何者だ?」
シナ「「は?/え?」」
ナツキとシノミヤが同時に声をあげた。
ノ「う?」
羽「…ノアが、なにか?」
神「…その小娘は、不意打ちとはいえうちの特攻副隊長(燿)の速さについていた。…人間のできることではない」
羽柴は薄ら笑いを浮かべたまま、口を開いた。
羽「…彼女は、人とセカンドタイプとの中間的存在、ハーフタイプです。人よりも優れた能力を得ています」
捺「…聴覚と、引き換え?」
捺波の指摘に、ナツキとシノミヤの表情が変わる。
羽「…詳しいことは、伏せます。まだあなた方が何者なのかわかりませんからね」
燿「信用ないねー。せっかくそのセカンドなんとかを一体さくっと倒してあげたのに」
ナ「え!?」
今度はナツキが声をあげた。
自分はこの前セカンドタイプとの交戦で大怪我をしたのだ。
その相手を、この少女たちは倒したというのか。
しかもさくっと。
ナ「………」
ナツキは一人項垂れた。
そのとき。
羽「敵襲です!」
シ「またかよ!?ったくタイミング読まねー奴らだな!」
斎「…ここからでもわかるわ。この気味の悪い気配」
斎希が軽く顔をしかめると、それまでずっと黙っていた双葉が顔をあげる。
双「…3、かな」
燿「またあの異形?勘弁してくれー…」
羽「来てしまったものは仕方ありません。十六夜さん、あなたがリーダーですよね?」
十「そう」
羽「今だけ協定を結びましょう。セカンドタイプの撃退に協力してください」
神「…それで、私たちにメリットでもあるのか…?」
反対しかけた神流を制し、十六夜が答えた。
十「いいよ、神流。セカンドタイプとやらの撃退はこの世界のあるべき姿を保つことに繋がるし」
斎「私も賛成」
燿「しゃーないなー…ちゃんと謝礼金払いなよね」
捺「…賛成」
双「わ、私も頑張るよ!」
羽「…と皆さん仰っていますが?」
神流はちらっと仲間を見ると、軽くため息をついた。
神「…ったく、どいつもこいつも…」
羽「それでは、了解も得られましたし。行きましょう」
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