ある昼過ぎ。
ナツキは昼食を終えたばかりだった。
以前の怪我はどうにか回復しつつあり、リハビリを兼ねたトレーニングも始めていた今日この頃。
少ししたらまたトレーニングでもしようかと考えていた。
その時。
バタバタと足音がした。
シノミヤと羽柴が姿を現す。
羽「敵襲です。ノア、いますか?」
敵襲。
背筋が冷えた。
治りかけの脚がズキンと痛む。
ナ「いや、ここには…あの、敵襲って…」
シ「そのまんまだろ。あとナツ、お前は留守番だ」
ナ「え…」
羽「まだナツキ君の脚は戦線で使い物になるレベルではありませんからね。ここにいてください」
ナ「…はい」
反論なんてできるわけがない。
事実、前回は自分で勝手に暴走して勝手に怪我したのだ。
そこにノアもやってきた。
羽柴が敵襲だと身振りで伝える。
その途端普段のほほんとしたノアの表情が引き締まった。
ナ「…気をつけて、ください」
ナツキの蚊の鳴くような声は、おそらく聞こえなかっただろう。
シノミヤと羽柴はそのままくるりと背を向け、それぞれの場所へ向かった。
ノアも付いていこうとしたが、不意にこちらに向きなおった。
ナ「?」
ノ「あう!」
満面の笑みでそう言うと、二人の後を追って外に出た。
大丈夫、とでも言ったつもりなのだろうか。
ナ「…」
ひとり残されたナツキは、ただ仲間の無事を祈るしかなかった。
[prev] [
next]
[
back]