複雑な迷宮を抜けると、<ガーランド>と<クジャ>のいる場所へ到着した。



X-H崩壊



銀竜を倒し、ついに<ガーランド>と対峙する。すると、今までは陰で傍観していたライラが前に出た。

「久しぶりだな……ガーランド。」

「……!? な……あ、貴女はもしや!? ……いや、……そんなはずは……。」

「何を言っている。一目でわかっただろう? 幾千の時を経ようと、私に姿や性格が与えられようと……お前を創った存在は、この私なのだから。」

「え……!?」

皆の驚きを他所に、やっと合点がいく。管理者を――ひいてはテラを創ったのがライラなのだ。それで<ガーランド>に用があったのだろう。

「……貴女は何千年も前、私をテラの管理者としてお創りになった。私は、貴女に恥じない存在になるべく……時を刻んだ。貴女に……もう一度会えるとは……。」

「私は死んだ。今は借り物の器に精神を宿している。お前に言いたいことがあったのでな。」

ライラが<ガーランド>に歩み寄る。嫌な予感がした。ライラが怒っているのだ。彼女に感情の起伏はほとんどないけれど、私にはわかる。

「お前を任務に縛り付け過ぎたのは誤算だった。だがな。」

案の定、威勢の良い音が響いた。……私の手が、<ガーランド>の頬を引っぱたいたのだ。

「っ……!?」

「一体誰が理を歪めろと言った? <融合>をいつ思いついたかは知らないが……お前の為に幾つもの世界が消滅し、お前達がガイアと呼ぶ世界は歪みに満ちた。お前にしてみれば、最善の策だったのだろうがな……私にしてみれば良い迷惑だ。滅びるものが滅びねば、理は歪む。」

ライラがそう言った時、突如上空から<クジャ>が現れた。気配に何か以前との違いを感じる。

「……おやおや……ガーランド様、言われっぱなしですか? やつらのはったりだとは考えないので?」

「クジャ!」

「ふふふ、この僕にお任せを。まずはこいつらを一掃してみせましょう。」

優雅に構えると、<クジャ>は余裕の笑みと共に攻撃を仕掛けて来た。ライラは後ろに下がり、ジタン様達が戦う。やはり様子がおかしかった。まるで、わざと攻撃に当たっているようだ。

「これが……これがトランスの力! ……思い知れ、真の力を!」

その企みに気づいた時には既に遅かった。強力な術が放たれる。ライラが障壁を張ったけれど、かなりの衝撃だった。まるでテラの輝きの様な深紅の姿となった<クジャ>が、ゆっくりとこちらを向く。

「ねえ……そこの小娘。管理者が必要なんだろう? ガーランド様とボクと、一体どっちが良い? そう……こんな老いぼれよりも……最強の力を手に入れた、このボクが良いだろう?」

ライラの返事を待たずに、<クジャ>が<ガーランド>を崖から突き落とす。……真実を言うべきか迷った。私でも知っている、<クジャ>の運命を。

(ねえ、ライラ……言った方が……。)

(……それどころではない。)

(え?)

恐らく何かを察知したのだろう。ライラが急激に気を練り始める。間もなく、<ガーランド>が<クジャ>には寿命があることを明かした。

「認めないよ……僕の存在を無視して世界が存在するなどと!」

<クジャ>が絶叫する。受け入れられるはずがなかったのだ。膨大な魔力が、<クジャ>の周りに一気に集中する。放たれた光弾は次々と美しかった建物を破壊して行った。こちらにも一つ飛んで来る。

(……ライラ!)

「ああ。我が力よ盾となれ。」

このまま当たっては危険だ。そう思って告げると、ライラはすぐに了承した。息をする様に詠唱を紡ぎながら、前に踊り出る。

膨大な、力と力の衝突。

吹っ飛ばされた。




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