自分に素直でいてもいいというのは、不思議な感じだった。感情を戒めていた――痣の束縛は緩められ、人らしく笑っても何も痛まない。笑えば、世界はずっと鮮やかだった。

何故ここにいるのか、忘れてはならないと心に刻む。

この世界を、守るために。



X-Eテラへ



鏡の裏側には、ジタン様にしか読めない文字で、納められる祠の位置が書いてあったそうだ。今は恐らく位置を特定するために世界を巡っているのだろう。

飛空艇の甲板で風を受けていた時、ジタン様に後ろから声を掛けられた。何故か少し遠慮がちな様子だ。

「……祠の場所が……わからない?」

「ああ……なんか抽象的な言葉ばっかりで、いまいちピンと来ないんだよな……。」

「祠と言うのでしたら、気が満ち溢れていそうですが……。」

「……気? ……悪ぃ、オレそういうの疎くてさ……。」

そこまで話が進んだところで、ジタン様がこちらに来た目的を察する。私の助力を求めたいのに――気を遣っているのだろう。私があの日、力を使いたくないと言ったからだ。

「……わかりました。では私が気配を読んで探しましょう。」

優しさを噛み締めつつ、自分から言い出す。困難なことではなかった。四大元素の気配はわかりやすく満ち溢れているからだ。集中して気を読み、舵を取っている人に、方向を伝えて行く。

最初に水の祠を見つけ、ダガー様とエーコ様を降ろした。何でも、女の子同士の話があるのだという。

次に火の祠を見つけ、フライヤ様とサラマンダー様を降ろした。何だかんだ言いながら、中々息が合っている。

次に風の祠を見つけ、ビビ様とスタイナー様を降ろした。ビビ様は飛びそうになっていたが、大丈夫だろうか。

最後に土の祠を見つけ、ジタン様とクイナ様を降ろした。ジタン様が労ってくれる。

「ミノンは残るか?」

「はい……私はこちらで。後程お迎えに参ります。ご健闘をお祈りしていますね。」

「わかった。ありがとな、また後で!」

力で役に立てた……それもこんなに自然に。そう感じると、温かい気持ちがした。力を使いたくなかったのは、畏怖を恐れたからだ。誰も恐れ、拒んだりしない。そうわかっていれば、苦痛はなかった。

しばらくしてから降ろした順に皆様を迎えに行く。安定した行程であった様で、みな大した怪我はしていなかった。

準備は整ったとのことで、目的地――輝く島へ向かう。<テラ>の気配は格段に強くなっていた。輝きも最高潮だろう。<テラ>への道が開く。

「このまま一気に突っ込んでくれ!」


異世界へ。




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