♪……行きはよいよい……帰りはこわい……こわいながらも……通りゃんせ……通りゃんせ……♪
U-I答え
「……素晴らしい……!」
「あ……あの、……ありがとう……ございます。」
「歌詞の意味を訊いても良いでしょうか? 聞くところ、異国の言葉の様ですが……。」
「…………七つまで、生きることのできたお祝いに、天神様――神様に、お礼を捧げるので……ここを通らせてください。そんな意味だと……言います。」
「……七つの、祝い……。」
静寂。──訊くなら、今だろうか。
「あの……少し、……少しだけ……お訊きしたいことが……あるんです。」
「……何でしょう?」
「…………ブルメシアや、クレイラを……襲ったのは、あなたの意思ですか?」
「…………!」
どうしても聞きたかった。もちろん私の勝手だけれど……でも。
「……責めるわけでは……ありません。……けれど、……知りたいのです。」
「…………私の意思、なのでしょう。ブラネ様のお考えに疑問を抱きながらも、結局は従った。……ただ……。」
ベアトリクス様が下を向いて言葉を切る。言葉を探していたのかしばらくすると、月を見上げながら再び口を開いた。
「今は、叶うことならば、ブルメシアやクレイラの民の助けとなることをしたい……と思います。罪が滅びるとは思いません。この身には許されぬ望みでしょう。それでも……そう思うのです。」
「……あの、……良いこと、だと……思います……。」
「ミノン……。」
望んではいない道。しかし自らの意思で選んだ道。そして、それを……償う道。
私に償いなど、できるだろうか。
「…………女王に、従ったこと……後悔して、いらっしゃいますか?」
「……剣を捧げたのは後悔しておりません。ただ、私が止めていれば……ブルメシアの民にも、クレイラの民にも犠牲は出なかった。ブラネ様も罪を重ねず済んだ……そう思うと、やりきれないのです。」
聞いていて一つの結論を見いだす。――結末を背負うのは自分だ。私は一人なのだから。守ると決めたなら、背負わなくては。
それが答えだ。
「…………。……ありがとうございます。」
「……ミノン?」
「…………ごめんなさい、こんなこと聞いて。」
「……構いませんが……。」
「今……私、よくわからないことがあって……でも、少しだけ、わかった気が……しました。ありがとうございます。」
「……私の話が役に立てたのなら、良かった。」
風がベアトリクス様の巻き髪を揺らす。こうしていると、この人が軍人だとは思えなかった。
「……そろそろ休まなくては、身体に障りますね。」
「はい、……おやすみなさい……。」
夜がゆっくり更けて行く。
この答えを背負えるほど、強くなりたいと思った。
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