誇り高き騎士達は、傷を負いながらも戦い続けていた。



U-G小劇場



「癒しの力よ、彼の者達を満たせ!」

「ミノン殿!?」
「ミノン!」

「……遅くなり……申し訳、ございません。加勢いたします。」

「ミノン殿、姫さまは……。」

「先程、無事に脱出されました……ジタン様とビビ様がご一緒です。皆様……ご無事で?」

「自分達は大丈夫であります! ベアトリクスが白魔法の使い手なのです。ミノン殿の先程の術も効いたのであります!」

「……では……私達も、脱出を……。」

「また来ました!」
「こちらもじゃ!」

前後から2匹ずつに囲まれてしまう。こんな状況を耐えてきたのだろうか。

「……風よ、彼の者を縛る楔となれ。」

動きが止まったところを皆様が斬って行くが、それでも手傷は負うものだ。何より体力がどんどん削られて行く。先程とは違い、常に追っ手は前後から来るので逃げられない。――逃がしはしない、というところか。

「くっ……何とか脱せないものでしょうか……。」

ベアトリクス様が体勢を立て直しながら呟く。……何とか、脱す……。――外に?

それなら……。

「……皆様、動かないでください!」

「は……!?」
「ミノン!?」

集中し、手を掲げる。

「我が身に宿りし力よ! 空間を越え、我らを安寧の地へ導け!」

耳鳴りの様な音と共に、辺りが真っ白になった。



次の瞬間、見渡せばそこはアレクサンドリア城下町とおぼしき町だった。どうやら思い通りの場所に着地できたらしい。人目につかず、離れ過ぎず……そして近過ぎない場所。

「……っ……。」

「ミノン……!」

さすがに少し目眩がした。あの痛みとは別の……力の使い過ぎだ。4日間ろくに休んでいない。その上、一人で三人も空間を越えさせたのだ。我ながら無茶だった。

しかし力を使い続けたのは皆一緒だろう。早く休む所を見つけなければ。

そう思った時、遠くから声が聞こえてきた。耳をそばだてる。

「城はもうこりごりだぜ……しっかしオレの体も頑張るよな〜さっきまで石だったのによ。」

「本当っスね。まさか石だったとは思えないほど滑らかっス。さっさと小劇場に行って休……あれ!?」

「……ブランク様! ……きゃっ!」

ふらつきながら走ったせいで、均衡を崩してしまう。

「おっ、と……! おまえっ……ミノンだったか? すっげぇ久しぶりだな! 大丈夫かっ?」

ブランク様は私を難なく受け止めると、肩を支えて立たせてくれた。

「は、はい……ありがとう……ございます。……あの、……それよりも……。」

「何でこんな所に……というか……尋常な様子じゃなさそうっスね。」

「はい……あのっ、どこか……休める、場所を……。」

「……この先に知り合いの小劇場があるっス。そこまで行こうっス。」



「ルビィさん! 急で悪いけど怪我人っス! 休ませられるっスか!?」

「マーカス! それにブランクぅ!? あんたいつの間に石から戻ったん! ……なんやこのお人達……傷だらけやないの! わかったわ、隣空いとるからはよ休ませたって。」

「ありがとな、ルビィ。」

「後でちゃ〜んと話聞かせてもらうわ。」

「……ありがとう……ございます、ルビィ様。」

「ええって、あんた傷は負っとらんみたいやけどふらついてるやないの。はよ休みや。」

「……はい。」


良かった。

そう思った瞬間、力が抜けた。





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