「菊ー、このクッキー美味しいねぇ……」

 もぐもぐ、と菊の家に遊びに来ていたフェリシアーノがお菓子を食べていた。
 菊がお茶を用意しに台所へ立っている間にテーブルの上にあったクッキーを食べ始めたのだ。

「ちょっ! 何でそれ食べてるんですか!!」

 あぁぁ、なんで私は隠しておかなかったのでしょうか、と嘆く菊は残っていたクッキーを慌てて取り上げる。

「ヴェー……」

 名残惜しそうにそのクッキーを見ているフェリシアーノに菊はお茶と持ってきた煎餅の籠を手渡す。

「これは人から貰った物なので……」

 すみません、と謝る菊にフェリシアーノは慌てて首を振る。

「か、勝手に食べてごめんなさい……」
「いいえ、こんな場所に置いておいた私が悪いのです」

 お気になさらないでくださいね、と別のお菓子を取り出して言った。


「ねぇねぇ、菊」
「はい?」
「誰から貰ったのー?」

 可愛いバンビーナ?

「なっ、そ、そんなんじゃないですよ!!」

 慌てて否定する菊にフェリシアーノはますますニコニコしながら問い続ける。

「ダメだよー、好きな女の子にはちゃんと言わなきゃー」
「わ、私とあかりはそんな関係じゃ……」
「ぁ、あかりちゃんって言うんだー。可愛い名前だねー」
「あわわわわわっ」

 ジジィ、こういう話題には慣れてません!
 だいたい、惚れた腫れたの恋愛沙汰なんて、どれだけ前のことか……

「今度会わせてねー」

 ニコニコと決定事項のようにフェリシアーノは菊の逃げ道を塞いだ。


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