鈴女の書いたプロット





地下街時代少年リヴァイが、地上の美しい女の子に恋をして、とらわれの身となったその子を助け出すお話。


リヴァイ12歳くらい?
ケニーが去った後、ファーランたちと出会う前のお話。

地下街で一人生きていたリヴァイは、盗みながら殴りながら刺しながら、暴力的な日々をただ生きていた。

ある日、地下街での盗みがうまく行かず(なんか既に先に盗まれていたとか、たまたま憲兵がいたとか、理由は何でも!おまかせ)、地上で盗むことを思いつく。
昼間から酒を食らっている階段の門番(?)の目を盗み、見つかれば殴り飛ばしながら、リヴァイは地上への階段を駆けた。
地上の街へ飛び出して、盗むために大通りへ。そこで見たのは、馬車と多くの護衛による行列だった。
こんな行列や馬車を初めて見たリヴァイは、思わず見入ってしまう。豪華な行列も馬車も、地下街にはなかったのだ。
豪華な行列の真ん中に位置する、一際立派な馬車が目に入った。窓のカーテンは開いている。中に座っていたのは、美しい少女だった。
陶器のような白い肌、綺麗に巻かれたブロンドの髪。着飾った少女の瞳に生気はなく、人形のよう。
行列の向かう先は、丘の上の大邸宅だ。行列に並ぶのは金銀財宝、そして珍しい動植物。
「〇〇様(名前はおまかせ、付けるも付けないも!)のお宅か……今回もまた豪華なもんだ」
「女はまだ子供じゃねえか、まったく良い趣味してるよな」
人垣の大人達の話声から、少女を含むこの行列が貴族の「買ったもの」だと察するリヴァイ。
地上で盗みを働こうとしていたことも忘れ、全身の毛が逆立つような怒りを覚えた。

地下へ戻り、新たにものを盗む。
それはパンでも芋でもなく、立体機動装置だった。
初めて手にした立体機動装置。昨今地下街で出回り始めたものだが、これを盗んだ理由は「ブレード」だった。
リヴァイがいつも持っているナイフでは、人を殺めるには心許ない。(この頃リヴァイはまだ少年なので非力だし、うまく人を殺すような技術はもう少し成長してから身についたのかな、と……)長刃で間違いなく貴族を殺したかった。間違いなく彼女を助けたかった。
立体起動装置を初めて身につけ、その操作方法に戸惑うも、もともと勘の良いリヴァイは小一時間も扱っていれば基本的な操作は理解できた。

夜が更けるのを待って、地上へ。寝静まった街を立体機動装置で飛び回り、丘の上の邸宅を目指す。
門番を一突きし気絶させ、窓ガラスを割って邸宅へ侵入。夜も更けた邸宅で護衛達が走り回ってリヴァイを捉えようとするが、リヴァイはその全てを風のように刺していった。
目指すのは寝室。少女に汚い手がかかる前に、どうしても救い出したかった。

寝室のドアを蹴破ると、太った男が護衛用の剣を構えて震えていた。ベッドの上では全裸の少女がシーツにくるまって怯えている。
「な、なんだお前は!?見張りの者は……!?」
「全員殺した」
「く、来るな!!金か!?金ならいくらでもくれてや、」
男が皆まで言う前に、リヴァイは刃で彼の首を切り落とした。
長刃でしたかったこと。どうしても、この男の首を切り落としてやりたかった。
血しぶきが上がる。リヴァイは血で真っ赤に染まった。

ベッドの上の少女は呆然とし、血しぶきのかかった少女の髪には血が点々と付いている。
「早く、ここから……」
リヴァイは手を差し伸べ、だがその手が血で真っ赤なことに気づく。
俺の手は血まみれだ。さんざん盗んで殺して、とうとうこんなに真っ赤になっちまったのか。
この手では美しい少女に触れることも躊躇われ、手を引っ込めた。
だが少女は、引っ込められたその手を取った。美しく白い手が赤く染まる。
「私を連れていって」

血まみれのリヴァイとシーツに包まった少女は固く手を握り合い、夜の街へと駆け出していった。







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