「神楽、ツナ。これは何だ?」
「新商品酢昆布ポテトチップスアル」
「季節限定抹茶サイダーです」

場所は万事屋。
神楽とツナは、銀時の目の前で正座させられていた。
そして、そこに新八の姿はない。

「状況を整理するぞ」
「はい、軍曹」
「将軍と呼べ」
「はい、甘党将軍」

銀時は彼等の目の前に指を一本、見せつけるように立てた。

「一、新八が昼飯の貝にあたって腹を壊した」

銀時は二本目の指を立てる。

「二、トイレットペーパーがキレていたから、お前等が買いに行った」

銀時は、三本目の指を立てる。

「三、お前等は自分の欲望の赴くまま菓子を買ってきた」

銀時は額に青筋を浮かべる。
あぁ、怒っている。これは余計なことを言わない方が良いな、と綱吉は思った。
しかし、空気を読まない娘が一人。

「銀ちゃん、ツナが買ったのはお菓子じゃなくてジュースアル」
「同じだわ!!」

銀時が神楽と綱吉の頭をべしんと叩く。結構痛かった。

「酢昆布アルヨ!?酢昆布のポテチアルヨ!?コレは酢昆布ハンターとして買わなきゃハンター失格アル!」
「勝手に失格してろ!勝手にただの酢昆布娘になれ!」
「抹茶サイダーですよ!?サイダーは見たことがあっても抹茶のサイダーですよ!?コレは制作者の男気を買わなければいけません!」
「お前は何でそう制作者の悪乗りに引っかかるンだよ!」

銀時はまた二人の頭を叩く。一回目よりも痛かった。

「スーパーに行ったら、つい目に入って…」
「ケツ拭く紙ならティッシュでも良いアル。トイレには流れるネ」
「そのスコッティも今の万事屋にはないだろうが!」

そう、だから買いに行かせたのに…。
トイレットペーパー分のお金でお菓子を二つ買ってしまい、目的のトイレットペーパーが買えなくなるなど…予想外だった。
しかも、酢昆布に対して命を賭ける勢いの神楽はともかく、まさか綱吉までこのような暴挙に出るとは。銀時は内心では驚いていた。

「俺達の世界で手に入れるのは難しい物で…たぶんこの世界にしかないかと…。そう思うとつい食べてみたくって…」

綱吉は申し訳なさそうに言う。しかし、その顔は欲しい物を手に入れることが出来て嬉しそうだった。

お菓子一つで嬉しくなる、か。

そうだ。彼はまだ子供なのだ。些細なことでも嬉しい、珍しいお菓子だって食べたいのだ。
知らない世界に来て、大丈夫そうに振る舞っても。彼は、まだ子供なのだ。
捜していた友達が見付かったこともあって、肩の荷が少なからず下りたのだろう。それが今回に現れた。子供らしい面が出てきた。

「……ったく…しょうがねぇなぁ。今回だけだぞ?」
「!ありがとうございます、銀さん!」
「ありがとう銀ちゃん!」

神楽と綱吉は嬉しそうに笑った。

彼等は台所に行き、楽しそうに皿やコップに買ってきたモノを分ける。どうやら自分達のだけではなく、全員の分があるらしい。
酢昆布味やら抹茶のやら、不安はあるが、仕方ない、付き合ってやるか。
銀時はふと、外を見る。思い出すのは、かつての戦友の顔だ。



異世界のガキが喜ぶくらいには、この国も腐っていないらしいぞ?



台所から歓声が上がる。どうやら、コップに注いだジュースの色に驚いているらしい。まったく、本当に小さな事で楽しめる奴等だ。
銀時は、優しげに笑った。



「僕のトイレットペーパァァァァァ!!」



新八の存在が忘れられていた。





因みに真選組。

屯所には、宇宙から来ただろう小さな野良エイリアンが大量に徘徊している。
道場には、伸されている隊士達で山が出来ている。

「…………」
「副長…これは……」
土方はぴくぴくとこめかみを痙攣させる。怒っている。
山崎は隣でその惨状から顔を反らしている。
もしもここでミントンをやったら、いつもより五割り増しで怒られるだろうな…絶対やらないけど。

前者は、天人に興味を持った獄寺の仕業。
後者は、隊士達と試合をした山本の仕業。

コレは、酷い有様だった。



「彼奴等何処行きやがったぁぁぁぁぁ!」



二人もこの世界を楽しんでいる様だ。







**********

30000HITキリ番リクエスト
銀色アサリで『復活キャラの様子を銀魂キャラ視点で』でした。


主に銀時視点になりました。しかもほとんどツナの様子だけ…。
ファンブックに、ツナは甘い物が好きというネタがあったので、見慣れないような菓子があったら欲しいだろうな、と。

復活組は銀魂世界をエンジョイしているよ、という話でした。
久しぶりの銀色でのギャグだったので、自分では楽しく書かせて頂けました。


今回のリクエストは飴玉様でした!
遅くなってしまい申し訳ありません…しかも少し短い…。
リクエストありがとうございました!


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