「…………寒いよ」
「う〜ん、やっぱ屋根に登って見るのは無理があったかな…」
「でも万事屋の中じゃみんなで見られませんよ?」
「ツナァ、毛布二人でくるまるネ」
「えっ、ちょっ、それは年頃の男女としてどうかと…」
「何言ってんだガキが。それとも神楽、俺とくるまるか?」
「嫌ネ。加齢臭が移るアル」
「銀さんはまだ加齢臭なんて出てませェェェェェん!どっかのゴリラと一緒にすんな!」
「必死なのが怪しい」
「標準語!?」
「銀さん、時の流れは残酷です」
「何言ってンだ新八!俺臭くないよ!なっ、そうだよな、ツナ!」
「そ、そうですよ銀さん!銀さんは加齢臭なんてしませんよ!」
「ツナくぅぅぅん!目を見て!銀さんの目を見てェ!そんな目を泳がせないでぇぇぇぇぇ!」
「ほらほら、そんなくだらないこと言ってないで、銀さんは一人で毛布にでも何にでもくるまっていて下さい。ホッカイロあげますから」
「くだらなくない…くだらなくないんだよ…」
「ほら、ツナもこっち来るアル」
「うー…そ、それじゃ、お邪魔します…」
「毛布は三枚しかねぇんだ。何にしろ誰か二人は共同なんだから、お前等で良いだろ。身体も小さいんだし」
「それは男として悲しいモノが…」
「何言ってンだ。新八なんて年下の獄寺と山本より小せぇんだぞ」
「それは言わないで下さい銀さん!加齢臭が移ります!」
「移んねぇよ!いや、移る以前に加齢臭しないから!銀さんフレッシュだから!いちご牛乳の香りだから!」
「いちご牛乳の香りを漂わせる中年も嫌ですが…」
「あっ!」
「どうした神楽。ツナにセクハラでもされたか」
「しません!」
「もし銀ちゃんにされたらパピーに言うアル。お星様になるヨロシ……って違うネ!アレ!」
「あ……」
「月が…欠けた…」
「月蝕…始まりましたね」
「そう言えば…どうして『ゲッショク』って起こるアルか?」
「えっと…確か地球が影になってどうのこうの…的な」
「ググれ」
「ググるためのパソコンも携帯も万事屋にはないアル」
「今度図書館行こうか……」
「それにしても…不思議な光景ですね。月が欠けるなんて…」
「そうだな。心なしか…天気も良くて星も綺麗に見える気がするし、ただ月が無くなっていくみたいな…」
「こういうのを幻想的って言うんだろうな」
「……」
「ツナ?」
「…なんか、不思議ですね」
「それ僕がもう言ったよ」
「いや、そうじゃなくて!俺のいた世界とこの世界、違うはずなのに、月は同じように見えて…」
「……」
「月蝕は初めて見ましたけど、俺の世界でも同じように月蝕は見えるんだろうし…」
「まぁ、だろうな」
「違う世界でも同じモノが見えて…本当に…」
「……」
「不思議だなぁ…って…」
「……ツナが言いたいことよく分からないアル」
「ははっ、ごめん。俺もよく分からないや」
「……ガキだねぇ」
「銀ちゃんは加齢臭ネ」
「なぁ、いつまでそのネタ引っ張るの?もしかしてずっと?ずっと?本編に絡ませたりしないよな?頼むからしないよな!?」
「あっ、今流れ星が流れたネ!」
「無視しないでぇぇぇ!不安になるからぁぁぁ!」
「願い事って歳でもないですけど…」
「祈るだけでもやってみるネ!祈るのはタダアル!」
「そうだね…」
「御飯ですよ山盛り…」
「姉上の玉子焼きが上手くなりますように…」
「加齢臭は嫌…」
「うわ、煩悩の塊!?」
「ツナも祈るアル」
「うっ、うん…俺は…」
「俺は−−−−」
少年は何を願うか−−−−
**********
2011年12月10日土曜日。
深夜に月蝕が観測されました。
月蝕を見て感動した衝動で書きました。凄かった。めっちゃ欠けてた。
人によっては流れ星も見たと言う方もいます。私は見られなかった残念。
因みに、月食がよく分からなくてググったのは管理人です。
宇宙の神秘ですね。
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