*パラレル的な










容姿端麗頭脳明晰器量も良い優しいとなったらモテないわけがない。そんな中学生、俺は嫌だけどな。

並盛中学一年生。
時はまだ入学して一ヶ月ほどの五月。



俺の名は沢田綱吉――――





――――――ではなく。





「リボーン君!朝よ!」
「分かっているぞ、奈々」





俺の名はリボーン。母親は奈々。
何を間違えたか、アルコバレーノのはずの俺は普通の中学生なんてものをやっている。

……ホント、何があった……。










「ホント、意味分かんねぇぜ、コラ」
「俺のセリフだぞ」
「俺のセリフでもあるぜ、コラ」

時は昼休み。
中学なのに珍しく給食制度ではなくお弁当制度を導入している並盛中学では、好きな場所で好きな奴と食べて良い事になっている。
因みに此処は『暗黙の』立ち入り禁止のはずの屋上。俺等には関係ないがな。

「中学生って奴は初めてだが、意外と暇なんだな、コラ」
「軍人の訓練と比べたら大半のモノは暇だろ」

隣で牛乳を飲んでいる金髪バンダナの男は言うまでもないだろう、コロネロだ。彼はじゅ〜と最後まで紙パックの牛乳を飲み干す。

「この有り余る体力の使い道がねーぜ、コラ。山本みたいに野球部に入るっつうのもな…」
「親父を手伝って竹寿司で修行でもしたらどうだ」

リボーンは缶コーヒーを飲む。その手付きは高が缶コーヒーでも、高級豆で作られたコーヒーに見えそうで怖い。



コロネロと再会したのは幼稚園の年少時だ。
リボーンがアルコバレーノの記憶を持っていて、子供とは思えないほどの頭脳を持っていたとすればやることはほとんど決まっていた。
仲間捜しだ。
だが、どうしてこのような状況になっているのかも分からないため、ひとまず心当たりを当たろうと考えていた。
リボーンのこの『本来の立場の人間』に親しい者の元に行けば、何か分かるかもしれない。そう思って故の行動だった。根拠はなかったが、手掛かりもないのだ。

結果から言えば、仲間捜しの目的は果たされた。竹寿司にいたのは予想していた山本武ではなく、コロネロだったが。しかも彼もアルコバレーノの記憶を持っているときたもんだ。
ははっ、笑える。再会した直後に頭突きをしあった。

リボーンとコロネロは、直ぐさま情報交換をした。
しかし、何故『こうなっている』のかは分からなかった。
原因不明。アルコバレーノだった頃に戻れるのかも不明。この本来の立場の人間がどうなったのかも――不明。
正直、絶望的だった。自分達はまだ幼稚園生で、出来ることは限られている。もうアルコバレーノではないのだ。身体の構造も年相応になっている。何時までこの世界にいるのか分からないから無茶も出来ない。
でも、まぁ、諦めるのは性に合わないし、生徒に諦めることは許さなかったのだ。
なのに、自分が諦めるわけにはいかないだろう?

山本武がコロネロになっているとすると、他にアルコバレーノが成り代わっている可能性がある。
リボーンとコロネロの『本来の立場』を考えると、他も予想が付いた。

そうして中学入学までで、あと二人と再会した。



「コロネロ先輩!焼そばパン買ってきました!リボーン先輩!エスプレッソ買ってきました!」
「遅ぇぞパシリ!」
「すんません!近くのコンビニ焼そばパン売り切れていて…ぎゃぁぁぁぁ!」
「うるせぇ」

屋上の扉を勢いよく開けて入ってきたのはヘルメットを被った変人――スカルだ。彼はコロネロにプロレス技を掛けられて悲鳴を上げている。

「大体、お前が俺等よりも年上ってことが腹立つんだよ、コラ!」
「ちょっ、仕方ないでしょ!?年齢はどうにも…って、痛たたたたた!ギブッ!ギブゥゥゥ!」

スカルは笹川了平の立場だった。
アルコバレーノの時は弟子だった了平にパシリのスカルがなるというのは、コロネロには納得いかない所があるのだろう。再会したときも「何で俺じゃなくてお前なんだよ!」とジャーマンスープレックスをかましていた。

「すみません。遅れました」
「風紀委員長も大変だな、風」

スカルより数秒遅れて屋上に入ってきたのは、右手にお手製のお弁当を持った風だ。

雲雀恭也の立場になっていたのは風だ。
俺等の中で一番成り代わっていて違和感がないのは風だろう。なんて言ったって同じ顔だ。最も、風は雲雀ほどには独裁的ではないが。不良を取り締まっていたり、街の平和を守っていたりする点では変わらないけど。
風曰く、「出来るだけ『あの世界』と同じにしておいた方が良いでしょう。『あの世界』と『この世界』、関係があるのは間違いないのですから。いざとなったときどう動くべきか分かりやすくて助かりました」だそうだ。そんなことを笑いながら言っていた。
一番違和感がないのも、一番この状況に冷静なのも風かもしれない。

再会出来ていないのはあと三人。彼等の立場には、日本のただの一般人のガキが会うのには無理があった。
それも、あと少しで再会出来るだろう。

後ろではコロネロとスカルがまだじゃれ合っている。風はそれを仲が良いですね、と微笑ましそうに見ている。俺は無視してスカルが買ってきたエスプレッソを飲んでいる。

緩やかな日常。平和な世界。それは長らく経験していなかった一般人の生活なのだろう。
これも一つの世界なのだろう。
奈々がいて、ビアンキやイーピンやランボやフゥ太や『あいつ』がいる世界とは違うだけだ。

俺等がこの世界に納得していないだけだ。










並盛中学一年生。
時はまだ入学して一ヶ月ほどの五月。



家庭教師が来るまで、あと一月。





さぁ、誰が来る?










**********

復活のアルコバレーノの守護者成り代わりでした。
混合じゃないの書いたの久しぶりです。

夢で見たのが元ネタとなっていて、起きたらすぐメモして文にした。
夢で出てきたのはリボーンとコロネロと風だけだったけど他も当てはめることも出来たので七人全員当てはめました。これに出てきたのは四人だけど。
他三人も妄想完了しています。←

一ヶ月後。家庭教師としてリボーンの前に来るのは誰でしょうねフフッ。
やばい、妄想が止まらない。でも楽しい。日常編も好きだったんだもん。

感想貰えたら嬉しいです。



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