『いいやただの小休止だよ』
『僕と会うのははじめてかい?綱吉君』
『私は反対です白蘭』
『沢田綱吉さん…お願いがあります。私を守ってください』
それは確かにあったはずの事。
『みなさん…ありがとう』
『まったくまぶしいったら……完敗だよ』
それは………
ブー ブー ブー
携帯の目覚ましを止める。
目覚めは最悪と言えた。
何か夢を見ていた気がする。何の夢だったかは覚えていない。
だが…。
彼は止めたまま手に掴んでいる携帯を見た。
起きてから三分が経過。
それを数秒見つめる。
二人分のメールアドレスを出した。
「やっ!綱吉君」
「お久しぶりです沢田さん」
その日のお昼時。
三人は原っぱの木の下で弁当を広げていた。
「いやー、驚いたよ。まさか綱吉君からサボりのお誘いが来るなんて」
「白蘭、そんな言い方は失礼です」
「でも、ユニちゃんが来たのはもっと驚き。お嬢様学校じゃない。サボって大丈夫?」
「私は普段が真面目なのです。γにバレなければ問題ありません。それに、せっかくの沢田さんからのお誘いですから」
「急にごめんね、二人共」
三人は重箱の弁当を分けて食べる。
その間にする他愛のない話。裏などない、友人同士のお喋り。
「あー、食べた。もう無理…」
「あら、残念。せっかくおやつにマシュマロを持ってきたのに」
「前言撤回頂きます」
皆でのご飯。
それは本当に平和で。
「それで綱吉君。何があったんだい?」
「んー?何の事?」
「とぼけても無駄ですよ、沢田さん。貴方が理由もなしに私達に連絡してまでサボるはずがありません。白蘭じゃあるまいし」
「ユニちゃんってたまに僕に酷いよね」
「真実を言っているまでです」
「んー、理由何て大した事はないよ」
ただ…
「ただ変な夢を見て…」
ただ…
「ただ…二人に会いたくなっただけだよ」
夢の内容はもう覚えていないけど。
悲しくて、無性に会いたくなった。
「それだけだよ」
「ふーん…どんな夢だったの?」
「覚えてないよ」
「悲しい夢だったのですか?」
「たぶん」
起きたとき、泣いていたから。
「でも、夢でしょ?」
「そうです。夢ですよ」
「うん…夢だよ」
だって、二人はここにいる。
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何処かにあるかもしれない世界
こんな世界もあったらいいな
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