沢田綱吉は自分の部屋のベッドの上で目を覚ました。

まだ頭は働かず、ただボー、と天井を見る。
それは見慣れた天井で、少し視線をずらせばハンモックで寝ているリボーンもいる。

次に耳を澄ませた。
一階からは微かに料理をしている音がする。
すでに起きている母さんが朝ごはんを作っているのだろう。もう少し時間が経てば味噌汁のいい匂いがするはずだ。

(あと十分・・・)

あと少しで母さんは自分に起きるように声を掛けるだろう。
だが、自分はなかなか起きなく、ギリギリまで寝ている。
急いで起きたら着替えてご飯をかけ込み、外に出れば獄寺が待っている。
二人で歩いていると山本が途中で合流して、三人で登校。

学校に着けば校門で喧嘩をしている了平と雲雀に遭遇するかもしれない。
その場合は他の生徒と同様に巻き込まれないよう、素早く校舎に入ろう。ボクシング部主将に見つかったら最後、喧嘩に巻き込まれて咬み殺される。

それから授業を受け、昼御飯を食べて、また皆で帰るのだ。今日は何があった、誰が凄かった、憂鬱になるかもしれないが、勉強のことでもいい。他愛のない話をして帰るのだ。

家に着いたらリボーンの下、宿題をやる。間違えたら拳の鉄槌が飛んでくるので学校の授業よりも集中する時間だ。

今日は宿題の量が多めなので、終わる頃には夕飯だ。
昨日の夕飯にはフゥ太の嫌いなピーマンが入っていたが、頑張って食べていた。母さんがそのあと、ご褒美にデザートであるショートケーキの苺をあげて、口直しとばかりに喜んで食べていた。
昨日からビアンキがリボーンに美味しい栗を食べてほしいと言って、自分で山まで採りに行っている。おそらく今日の夕飯には栗料理が食卓に並ぶことだろう。母さんが作ることを祈るのみだ。

お風呂に入ったあとは、ランボとイーピンと一緒にゲームをする約束だ。
寝たままの姿勢で部屋の床を見ると、昨日遅くまで遊んだゲームがそのままだ。
最初はランボと二人でやっていたのだが、いつもは早く寝るイーピンも珍しく一緒にやりたがり、母さんに怒られるまで三人で一緒にゲームをやった。続きは明日と言って二人は自分の部屋に戻った。今日も母さんに怒られるまでやるのかもしれない。

ゲームが終われば歯を磨いて、ベッドに入る。そうして寝れば、また朝がやってくる。

取り戻した日常が始まるのだ。
それはとても幸せなことだと感じた。

布団に潜り、目を閉じて、深呼吸をする。
瞼の裏に浮かぶみんなの顔。
それを想うだけで、優しい気持ちになる。



母さんが自分を呼ぶ声が聞こえた。

日常が始まる。






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未来編帰還後の目覚め。


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