空は雲一つない快晴。

屋上で弁当を食べて、お腹いっぱいの状態でそのまま川の字に横になる。

だが空模様とは違い、問題が一つだけ。

「あっつい」
「いやぁ、凄い日射しなのな」

今の季節は7月。
梅雨が終わって、久々の良い天気だったので昼休みは屋上に行こうとなったのだが、日射しを甘くみていた。

「今年は例年よりも夏は暑いと予測されているそうですよ・・・」
「それ本当なの獄寺君・・・。夏本番にはどれほど暑くなるんだろう・・・」
「野球部の練習、後輩たち大丈夫だといいなぁ」
「山本、自分のことも心配してね。休憩と水分きちんと摂ってね」

綱吉と獄寺は頭にタオルを、山本は冷えたペットボトルを置いて暑さに対抗している。

「中学最後の大会だし、気合い入れて練習したいんだけどな」
「自分の体調が一番大切だよ。無理は禁物」

山本はそうだよな、と言い、起き上がってペットボトルの水を飲んだ。
すると思い出したように綱吉たちを見ながら言う。

「そういえば、C組の谷口が推薦でもう高校決まったらしいぜ」
「えっ、サッカー部部長になった谷口?」
「サッカー部・・・確か県大会出場しましたよね」
「おう。駄目かもしれないって思った推薦が取れて、職員室で大きな声で顧問の先生と話してた」
「あの先生声大きいからね・・・」

綱吉はタオルを顔からどけて空を見た。

「高校か・・・そういえば、この間ハルが看護師に成りたいから看護学科目指すって言ってたな」
「あのアホ女、大丈夫なんでしょうか」
「ハルは勉強得意だし、平気だと思うけど・・・たまに突拍子もないことするからなぁ」

綱吉と獄寺も起き上がり、それぞれ自分のペットボトルを持って円になるように座った。

「山本は考えてる?」
「俺?俺は大会の成績次第でどんな推薦が貰えるか、まだ分からないからな・・・」
「確かこの間、お兄さんが行った高校の話してたよね」
「おう。そこも運動部が盛んだからな。先輩も活躍しているって、先月連絡が来た」
「あの芝生頭、俺のところにもメールしてきたぞ。全部平仮名で、読みにくくて仕方がねぇ」
「でも凄いよね、まだ一年生なのに」
「どうせまだ極限極限言っているに決まっていますよ、十代目」

獄寺の言葉に三人は笑う。しかし、そこで会話が途切れる。
しばしの沈黙の後、山本が口を開いた。

「ツナと獄寺はどうするんだ?」
「俺は十代目に付いていく」

山本は即答した獄寺にやっぱりな、と笑う。
しかし、綱吉は黙ったままだった。

「俺は・・・」

綱吉は言葉を選ぶように言葉を止め、目線を落とす。

だが、すぐに顔を上げて二人を見る。

「まだ分からないかな」

山本は、そっか、と言い水を飲む。相談はいつでも乗るぜ、とも言う。
獄寺は、俺は十代目がどこに行こうと付いていきます、と言う。

本当は言いたいことはあった。
この間、リボーンがパスポートを持っているか聞いてきた。
ポストにイタリアのチラシが入っていた。
父さんが一週間前に帰って来て、リボーンと話をしてまた何処かに行った。

明らかに企んでいる。だが、まだ何も言われていない。今は本人に考えさせる有余期間、ということだろうか。
直接は何も言われていないので、こちらも何も言っていない。

二人に言えば、相談に乗ってくれるだろう。だが、二人とも、特に大会が近い山本には大事な時期だ。余計な心配は掛けたくはない。

「まだ、時間はあるよね」

中学三年の夏。
永遠に続くかのように感じていた日々は、永遠ではないと気が付いたのはいつだったか。
まだ大丈夫。まだ大丈夫。まだ時間はある。
いつからか、心のなかで呟く。

いつまでも続けと願う、夏の日々。






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中3の夏に、これからのことを真剣に考える子供。
管理人は部活一色だった脳内でした。


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