第二章 第十四話     25/115
 



「え!?真選組に獄寺君と山本君いるンですか!?」
「そうだって言ってンだろ眼鏡。今は俺の一番隊の新人隊士っていうことになってる」
「まさか真選組にいるなんて・・・」

沖田を招き入れた新八と銀時は、三人で沖田が持ってきたケーキを食べながら話をしていた。

「捜索している内に万事屋のガキにたどり着きやしてね。本人だか確認しに来たンでさぁ」

沖田は出されたお茶を飲む。そして探るような視線で銀時を見た。

「驚かないンですかィ?」
「何が?」
「異世界転送装置ですぜィ?コレはまだ公表されていないし、これからも公になるとは考えにくい。そんな物の話をしたンですぜィ?」
「十分驚いているさ。そんな物があったとはな。世界は広いってか」

銀時が何でもないように言って、ケーキをまた口に運ぶ。沖田は視線を銀時から外すことなく話し続ける。

「本当に?まるですでに事情を知っていたみたいじゃないですかィ。おかしな話だ。これは真選組幹部か一部の幕臣しか知らないはずなのに・・・」

新八は目を泳がせていた。
沖田は疑っている。万事屋がどこからその情報を知ったか。
幕府の情報を少なからず把握している者と言えば、沖田が言ったように真選組や幕臣などの関係者か・・・攘夷浪士。沖田は桂の存在を疑っているのだ。
しかし証拠はない。ないはずだ。そんな装置の事を聞いたのは沖田からが初めてだと言えばばれっこない。ここで知らぬ存ぜぬを通せば問題ないはずだ。
だが相手は沖田だ。銀時は口先から生まれてきたような男だからともかく、自分に一番隊隊長の目を誤魔化せるだろうか。

「・・・・・」

沖田は一度こちらをちらりと見て、また銀時に視線を戻した。銀時はケーキを食べながら、何でもないようにその視線を受け止めている。
何と図太い男だ。新八は胃が痛くなるような思いがしているのに。

新八はもはやこれは見抜かれているのではないかと思った。
しかし、突然沖田はふっ、と笑い、再びお茶を飲んだ。

「旦那・・・一つ貸しですぜィ」
「貸しって、俺何にも貸してねぇだろうが」

銀時は少し不服そうにいう。

「何言っているンでィ。もしここにいたのが俺じゃなくて土方さんならもっといろいろ聞いているに決まっていますぜ。俺の寛大な心に感謝ですよ」
「ドSに感謝する心何ぞ持ち合わせてねぇよ」

銀時は憎まれ口をたたいているが、新八にはそのような余裕はない。
見逃してもらえたのだろうか?新八はほっと息をついた。

「それで?確認しに来たって事はそいつらも一緒のはずだろ?どこにいんだ」
「さぁ?」
「はぁ?」

銀時はケーキを食べ終わり、フォークを置いてソファの背に寄りかかった。

「どういう事だよ」
「朝方に万事屋のガキの事を聞きやしてね。待っているように言ったンですが、あの二人先走りやがって。先に着いていると思ったンですが、いやしねぇ」
「迷ってンのか?」
「でしょうね。歌舞伎町だって事は言ったはずだから、しばらくすれば来ると思っていやしたが・・・遅えなぁ」
「そう言えばツナと神楽も遅えな。寄り道でもしてンのか?」
「綱吉君が今日のお昼当番だからそれはないと思いますが・・・」

新八が時計を見ると、すでに綱吉達が買い物に行って一時間以上が経っている。
それほど多くの買い物を頼んだ訳ではないので、とっくに帰ってきていてもおかしくないはずなのだが・・・。

「何か事件に巻き込まれて居るンじゃ・・・」
「そんな馬鹿な。漫画じゃあるまいし」
「いや、この万事屋のトラブル吸引力は半端じゃありやせんぜ。貧乏神と疫病神が仲良く手を取り合って同居しているに違いありやせん」
「沖田くーん、君喧嘩売ってる?」

沖田が銀時の言葉を否定していると、点けていたテレビから緊迫している様子のニュースが流れた。

『私はただ今攘夷浪士によるモノと思われる爆発現場のデパート前にいます!見て下さい!上層階の火事の様子を!みるみる内に広がっていっています!』

どうやら爆発事件の消火の中継のようだ。
デパートの上層は燃えており、周りには消防車やパトカーの他、多くの野次馬が群がっている。

「あっ、これすぐ近くのデパートですよ」
「本当でィ。これはすげぇな」
「おいおい、やばいンじゃないの?これ、ツナ達が買い物に行ったデパートじゃねぇか」
「あっ、本当だ!でも綱吉君達は一階の食品売り場だし、避難も大体終わっているみたいです。もう避難したと思いますよ」
「まぁ、あいつらも誰かに聞けばここの場所何てすぐ分かるだろうし、すぐに万事屋に来ると思いやすよ」

三人はそう言い、それぞれのお茶を手に取る。
テレビの緊迫した中継は続く。

『大変です!今入った情報によると、中に子供が三人と若い真選組隊士が二人残されているそうです!その子供の一人の六歳児の女の子の母親によると、その女の子の他に茶髪の子供とチャイナ服の女の子、それぞれ黒髪と銀髪の真選組隊士がデパートの中に残されているそうです!繰り返します!デパートの中に・・・』

三人はお茶を飲もうとしたままの体勢で止まった。





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