第二章 間話     17/115
 


地球のどこかの港に停泊している船。その船頭に隻眼の男が一人煙管を吸いながら腰掛け、仲間の話を聞いていた。

「異世界転送装置ねぇ。ククッ、それは随分と愉快な装置なこって」
「笑い事ではありませんよ。どうやらそれを盗んだのが春雨の下っ端団員らしく、もうその装置を使ったというではありませんか。もしかしたら将来有望な可愛らしい少女が転送されたのかも・・・」
「マジキモイです武市変態。ロリコンも大概にして下さい」
「だからロリコンじゃありませんフェミニストです。あとまだ変態とか言っているのですかいい加減怒りますよこの猪女」
「誰が猪女だァァァァァ!・・・で?何が転送されたっスか?」
「いやぁ、それが転送の時に失敗したらしく、転送したはいいけどどこに転送したか分からないそうです」

それを聞いた仲間の女が腰の銃を抜いて、話している男の頭に銃口を向けた。

「先輩、なめているっスか?」
「なめていませんよ。だから銃を下ろしなさい、また子さん。如何せん古い装置なので使い方もまだ分かっていなく、ようやく読みとれた記録も人間が転送されたということが分かったのみ。どこにいるかは不明らしいです」
「それ、どうやって捜すっスか?」
「さぁ?」

男がそう言うと女は怒りを通り越して呆れたようで、銃を腰に戻した。
すると今まで話を聞いていたかも分からなかったヘッドホンの男が口を開く。

「しかし異世界からの来訪者でござるか。ちと気になるでござるな」
「にしても、その人物は何も分からないままどっか彷徨っているってことっスか?」
「そのはずでござる。このような腐った国に放り出されているとは・・・些か同情の念を覚えるでござるな」
「・・・あんた、他人事だと思ってるっスね?」
「他人事でござるからな。どうするでござるか晋助。我らも捜してみるか?」

ヘッドホンの男は隻眼の男に問うが、問われた男は煙管の煙を吐くだけで、それには答えない。

「異世界からの来訪者・・・随分と懐かしい響きだな・・・クククッ」
「・・・晋助?」

隻眼の男は答えない。ただ笑っている。

「さぁて、今度はどんな奴が来たのかねぇ?」



欠けている月が、一つ空に浮かんでいる。






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