第二章 第五話     14/115
 


「いやぁ、悪ィな、万事屋の眼鏡。おかげでマヨネーズが三本手に入った」
「お礼何て良いですよ。僕たちもアイス買ってもらいましたし」

新八と綱吉、そして土方は公園でアイスを食べていた。
土方を見つけた後、新八と綱吉もマヨネーズを持ってレジに並びそれを土方に渡したのだ。土方はその礼にとアイスをくれた。

「それにしても、少し以外でした。土方さん、自分で買い物するんですね。山崎さんとか、部下に任せていると思っていました」
「山崎は今、急ぎの調査で買い物に行く暇がねぇんだよ。俺は今日非番だし、マヨネーズを切らしちまってな。ちょうど特売らしいから買いに来た」

土方はそう言って煙草を取り出し、火を点けようとライターを構えた。

「新八君、この人は?」
「あぁ、真選組副長の土方さん」
「真選組・・・ゴリラストーカーの?」

土方が煙草を手の中でボキリと折った。

「ひぃぃぃぃぃぃ!!」

綱吉はそれを見て失言を悟った。それはそうだ。自分の所のトップがゴリラストーカー何て言われたら怒るだろう。

「ごめんなさいすみません申し訳ありませんもう言いません!」
「・・・万事屋が言っていたのか?」
「いえ誰も何も言っていません!」

綱吉は隠れるように新八の後ろに移動した。

「・・・・・」

土方は隠れている綱吉をジッと見る。
土方が自分で買い物をしに来たのは、何もマヨネーズのためだけではない。まだ行方が分からないもう一人の異世界からの転送者の捜索だ。
獄寺と山本の二人が言っていたその人物の特徴は、

『歳は二人と同じ年齢で性別は男。身長150後半、体重40代。上に伸びている茶髪に、それと同色の目』

正直にいうと、マヨネーズの事で頭がいっぱいで捜索のことは忘れていた。しかし、スーパーで新八と一緒の所を見たとたんに思い出すほど特徴が一致している。
人通りが多いスーパーから離れて、頃合いを見てこの公園で例の松平の質問をしようと考えていたのだが・・・。

「・・・しかし・・・」

二人を保護した三日間で、分かったことがある。
獄寺は警戒心がひたすら高い。年上は敵だとかも言っていたが、だからといって年下に甘いわけでもない。人と馴れ馴れしくしない。しかし、一匹狼を気取っている獄寺は捜索中の『十代目』をひたすら敬愛しているようだ。
捜索のための特徴を獄寺に聞いたときは「オーラが出ている」「一目見てだけでわかる」「器が大きい」など、はっきり言って使えないことばかり言っていて、特徴はほとんど山本から聞いた。
獄寺の言葉をまるまる信じているわけではない。だが・・・。

「これはない・・・な」

自分は子供に恐がられる人相をしているのは自覚しているが、ここまで怯えられたのは久しぶりだ。そんな小心者があの獄寺に敬愛される?むしろこいつはあいつにパシリにされそうだ。
こいつが捜索中の『沢田綱吉』の訳がない。土方はその結論に達した。

「土方さん、どうしたんですか?」
「いや、何でもねぇ。それじゃ、俺はもう行くぜ。マヨネーズありがとな」
「あっ、僕たちもアイスありがとうございました」「ありがとうございました」

新八達に見送られながら、土方は立ち上がり公園を後にする。

「悪い人じゃなさそうだけど、何て言うか迫力がある人だね」
「マヨラーだけど、副長らしいからね。僕たちも帰ろうか、綱吉君」

もし新八が土方の前で綱吉の名を呼んでいたら、恐らく土方は質問をしただろう。だが、それは仮定の話。
新八と綱吉はそのまま何事もなく万事屋に帰った。






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