第一章 第七話 8/115
三人が見た部屋の状況は、一言でいうなら最悪だった。
沖田は予想通りバズーカを発射したようでまだ抱えているし、部屋にはそのバズーカに被弾した永倉を含める隊士がのびている。
そして問題の子ども二人は・・・。
「げほっ、ごほっ。」
「獄寺、大丈夫か?」
無事だった。
銀髪の少年と黒髪の少年が部屋の中央にいる。
沖田がバズーカをわざとはずしたのか、この少年二人が避けたのかはわからないが、少なくとも大きな怪我はしていないようだ。
もし隊士でもないただの一般人の子供に大怪我を負わせたとなったら一大事なので、土方はほっと息をついた。
(一般人とは限らねぇがな・・・)
二人を見るが、ただの子供にしか見えない・・・。バズーカの煙によって咳き込んでいる銀髪の少年を、比較的無事な少年が気遣う。こんな状況でなかったら仲のいい友達同士に見える微笑ましい光景だ。
だが見た目で判断すると痛い目を見るのはわかっている。
「てめぇ・・・いきなり何しやがる!!」
「何でぇ、人様の頭上にいきなり落ちてきたのはそっちじゃないですかィ」
「明らかに殺意100%のバズーカ撃つ方が問題だろ!」
「馬鹿言っちゃいけねぇ。殺意100%バズーカは土方さん用だ。てめぇのような小物になんぞ撃つか」
「小物だと・・・なめやがって・・・!!」
部屋の奴らはまだ土方と近藤が来たことに気が付いていない。沖田は気づいていての今の発言かもしれないが・・・。
「静まりやがれ!!!」
「「!!」」
土方が部屋に響くように怒鳴ると、子供の二人は驚いたようにこちらを見る。
沖田は驚いたりせずバズーカの構えを解いただけなので、やはり気づいてはいたようだ。後でしめる。
「・・・誰だ、てめぇ」
「真選組副長土方十四郎だ。お前らは?」
「誰がてめぇらなんぞに「俺は山本武ッス。こっちは獄寺」・・・おい山本」
獄寺というらしい銀髪の少年は山本武と名乗った黒髪の少年の胸ぐらを掴んだ。
「お前は何やってんだ!こっちの情報を簡単に与えんな!」
「いやぁ、あっちが教えてくれたんだからこっちも言うのが礼儀だろ?」
「そういう問題じゃねぇ!!」
どうやら獄寺という子供は警戒心がかなり高いようだ。なら質問をするとしたら・・・。
「おい、山本武」
「何ッスか?」
土方は山本に声を掛けた。
獄寺はギンッとこちらを睨むが無視をする。睨みで土方を黙らせたかったら最低でも松平レベルを連れてこい。
「お前らが急に現れたのは本当か?」
「そうみたいです。俺らもよくわかんないッスけど」
「どこから来た?」
「並盛ッス」
「・・・知らねぇな。ここがどこだかわかっているか?」
「なんかさっき『江戸』って聞いたんですけど・・・本当ッスか?」
「本当だ。・・・ターミナルから来たって事はないな?」
「ターミナル?」
どうやらターミナルすら知らないらしい。これはまさか本当に・・・。
「おい・・・お前ら・・・」
近藤が神妙な顔でこちらを見る。どうやらこれから俺がする質問が何だか察したようだ。
沖田が怪訝そうな目でこちらを見る。俺たち二人の様子がおかしいのに気が付いたようだ。それはそうだろう。いつもの俺だったらこんなよくわからないガキを相手にもしないか、下手したら抜刀する。
しかし今の俺には松平の話が頭にある。近藤も同様だ。だからこのような慎重な態度を取っている。
松平がしろと言っていた質問を、正直に言おう、したくない。
普通のやつにしたら意味がわからないと言われるか、馬鹿にされるか。もし沖田に言おう物なら笑われながら馬鹿にされるに違いない。そんな質問だから当たりの奴の反応がわかりやすいのだろう。
しかし、できれば外れてほしいという思いがあった。もし当たりだったらそのふざけた装置が本物だということだ。仕事が増えるだけではなく、絶対面倒なことになる。
外れてくれという思いを込めて土方は言った。
「お前らはボンゴレか?」
二人の顔色が変わった。
・・・当たりかよちくしょう。
前へ 次へ
→戻る