白色アサリ 彼はお医者様 1/5
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*銀色アサリとは別設定です。ツナは銀魂世界の住人です。
「はい、もう大丈夫ですよぉ。通院お疲れ様です」
ここは江戸、かぶき町。その大通りから離れた、裏道に小さな診療所があった。
「オー、ありがとよ、先生」
「もう撃たれないで下さいねぇ」
ただ、ここはただの診療所ではなかった。
銃弾や刀傷、簡単に言えば、普通の病院に行ったら少々面倒なことになる様な、裏の道の者が多く利用する所だった。
だが、利用者はその様な者だけではない。近所の一般人も訪れることはあるし、夜に熱を出した赤子が緊急で来ることもある。
それに、問題を抱えた患者は裏口から入る様にしているので、ここがそう言う所だと知っている一般の患者はそれほどいない(年を重ねている患者の中には気付いている者もいるが)。
そこが、『沢田診療所』だった。
「ツナさーん、午前中の患者は以上です!」
「ありがとうハル。お昼にしていいよ」
「はい!ツナさんはどうしますか?」
「俺はこのカルテ書かないと」
「それじゃお弁当買ってきますね!」
「うん、ありがとう」
そう言って黒髪の彼女はコートを羽織り、財布を片手に駆けていく。うん、元気なのは良いことだ。
「さて、と」
カルテをさっさと書き上げてしまおうと机に向かう。ハルが帰ってくる前に書き終え、彼女と一緒に久しぶりに一緒にお昼を食べるとしよう。
そう思ってペンを握った時だった。
「お邪魔しまーす。いてて…」
裏口の扉が開いた音がする。そして、聞き覚えのある声も。
「おや?」
持ち上げたばかりのペンを置き、立ち上がって白衣を翻して部屋を出る。そして裏口の方を見れば、予想通りの人物が。
「久しぶりだね、銀さん」
「オー、ツナ」
白髪の男は知り合いだった。坂田銀時−−木刀を腰に差す侍だ。今日は珍しく差していない様だが、それ以外にも珍しモノがあった。――いや、自分にとっては珍しくないか。何て言ったって、彼が此処に来る理由の殆どはそれなのだから。
「また怪我かい?」
「うっせぇ」
彼は肩を負傷していた。見た限り、どうやら刀傷の様だ。
「入って。早く治療しちゃおう」
「他の患者は良いのか?」
「今は昼休憩だよ」
「そうか。悪いな、ツナ」
銀時は医者――沢田綱吉の前を通って、部屋に入室した。
「ほぉ、いい切り口だ」
綱吉は銀時の傷口に処方しながら言った。その感心した口調に銀時は溜め息をつく。
「斬られた方は堪ったモンじゃねぇがな」
「銀さんが斬られるとはね。相手は誰?」
「多串君」
「……誰、それ?」
「気にすんな」
「木刀はどうしたの?丸腰みたいだけど。これは作業着?」
「仕事中だったんだよ、大工の。屋根でいきなり掛かってきやがった」
「何したの?いきなり斬り掛かるなんて、余程だよ」
「あー、ゴリラがどうとか」
「……動物虐待でもしたの?」
「違ェよ」
話している間も、綱吉は慣れた手付きで包帯を巻いていく。刀傷の処方は、銃弾で受けた傷と同じくらいお手の物だ。
「はい、終わったよ」
「サンキュ」
銀時は脱いでいた上着を着ていく。やはりまだ痛むのだろうか、肩を上げると痛そうだ。
「痛み止めを出しておくから、ちゃんと飲んでね」
「おう」
銀時が服を正していると、とてとてと足音が聞こえた。
「ツナさーん、お弁当買ってきましたぁ」
右手に二つ分の弁当箱を携えたハルがドアから顔を出す。
「おかえり、ハル」
「ただいまです!あれ、銀さんではありませんか!」
「よっ」
ハルは久しぶりに会う銀時に笑顔を返す。
「今日はどうしたんですか?」
「ちょいと斬られてな」
「はひ!?デンジャラスです!大変です!」
「もう大丈夫だよ」
「ハル、銀さんに出す痛み止めを出してくれる?」
「はい!了解です!」
ハルは弁当を置いて、隣の部屋に向かう。
「銀さん」
「んだよ、ツナ」
「あまり無茶しないでね。俺にも治せる怪我には限度があるんだから」
「んなの分かってるよ」
「本当かなぁ?」
「俺を幾つだと思ってんだ」
「永遠の中学二年生の夏」
「……てめぇ……」
「ふふふ」
話していれば、ハルが薬を持って戻ってくる。
「ツナさん、これですよね?」
「うん」
「もうすっかりと此処の助手だな」
「はい!以前は助けて下さり、本当にありがとうございます!」
「もう良いって。何度もそれ言うなよ」
銀時はハルから薬を受け取り、背中を向けて歩き出す。
「んじゃ、またな。ツナ、ハル」
「もう怪我しないでよ、銀さん」
「今度は治療じゃなくて遊びに来て下さいね!」
銀時は背中を向けたまま、手を挙げてそれに答えた。彼は、振り返ることなく裏口から出て行った。
「……さ、ご飯にしようか」
「はい!今回はちょっと奮発しました!」
残った医者と助手は、まだ暖かい弁当を広げた。
江戸、かぶき町。大通りから離れた、裏道にある小さな診療所。その名は、『沢田診療所』。
一般の患者から、少しばかり問題を抱えた患者まで、様々な人が訪れる。
白髪の侍も訪れる、小さな診療者が江戸にはあった。
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疲れていて書いた設定その一。
銀魂と復活の、銀色アサリとは別設定の混合非夢小説です。
銀さんは怪我をしたとき、病院じゃなくてツナの診療所行っています、的な。
紅桜の時も、魔死呂威組の時も、大怪我しても病院じゃなくてツナの所に、的な。
ツナはそこまで深くは訊かず、怪我の治療をする。
初めて会ったとき、ツナは銀時に助けられた借りがある。だから基本無料で治療。
ハルは銀さんに助けられてツナの所に、っていう感じ。
感想下さると喜びます。うざいくらい。
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