伏見は目を閉じる《2》

「別に、お前には関係ないだろう」
「な!?かっ、関係なくねぇだろう!」

八田はカップに入っているホットミルクを零しそうになりながら叫んだ。

「何で」
「仲間なんだから、関係なくねぇだろうが!」

仲間。吠舞羅の仲間。それを聞くと何時もイライラが大きくなる。今もだ。ただでさえ気分が悪いのに。

「ジャンクフード大量に食ってる美咲に言われたくねぇよ」
「名前で呼ぶな!」

名前で呼べば八田はそっちに意識がいって今にも掴み掛ろうとする。しかし、それは叶わない。

「八田ちゃーん、ちょっと落ち着きィや」

呆れが混じった京都弁の持ち主は、八田の頭をぽんっと叩いた。

「何で飲み物持ってったら喧嘩腰になんねん」
「だってコイツが……」
「伏見」

八田の言葉を遮り、吠舞羅のナンバー2草薙出雲は伏見の顔を覗き込む。

「んで?昨日と、今日の朝、何ィ食べたんや?」

草薙は伏見の目をじーっと見て、目を離す様子はない。
また、この人の食事についての質問にはきちんと答えるべきなのを伏見は知っていた。

「適当に……」
「具体的に」

誤魔化そうとしてもこの人の追求からはそうそう逃げられない。しかし、言ったものならまた小言が増えるだけだ。食べるのが面倒だから、栄養食品をかじっただけだなんて。

「……家にあったもんを、適当に」
「その内容は?」

先程まで息巻いていた八田は、草薙が怒りの空気を纏い始めたのを感じ、黙って大人しくしている。



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