happy birthday
「昨日は寝苦しかったな、暑くて」
リビングのソファーで横たわった風太のつぶやきに、汰絽は確かに暑かったな、と思い出した。
一緒のベッドで眠っていたむくも寝苦しかったのかゴロゴロとベッドの上を動いていた。
今はむくはテレビを見ている。
「風太さん、冷たいコーヒー飲みますか」
「おー、ちょうだい」
「むくは何飲むー?」
「リンゴのジュース!」
「待っててね」
そう言ってむくの頭を撫でた汰絽はキッチンへ向かう。
冷蔵庫の中から可愛らしい瓶に入ったリンゴジュースと、作りたてのアイスコーヒーを入れて持ってきた汰絽はテーブルにコップを置いた。
むくはバッと起き上がってリンゴジュースを飲む。
「んまぁーっ、リンゴジュース大好き」
嬉しそうにリンゴジュースを飲んだむくに汰絽が声をかける。
むくを呼んだ汰絽はむくを連れて自室へ向かっていった。
どうしたことかと首を傾げたが、すぐに戻ってきたふたりにすぐに気がそれる。
「むく、せーの」
「「誕生日おめでとー!!」」
ソファーに横たわっていた風太はその言葉に体を起こした。
それから汰絽とむくが差し出してくれたものを受け取る。
「驚いた。ありがとう、むく、たろ」
もらったものを受け取ってそう答えると、汰絽とむくが嬉しそうに笑った。
嬉しそうなその様子に、風太はおもわず笑う。
「な、開けていい?」
「どうぞ、開けてください」
「おう」
最初にむくから貰った四角い箱を開けた。
その中には紙粘土と海で拾った貝やシーグラス、むくの集めていたビー玉がつけられた写真立てが入っている。
綺麗な写真立てには汰絽の携帯で初めて撮った三人の写真が入っていた。
「これ、むくが作ったのか」
「うん!嬉しい?」
「おう、嬉しい、ありがとう」
むくの頭を撫でて、風太は額にキスをした。
写真立てが窓から入る日差しに輝く。
「たろのも開けていいか」
「はい」
汰絽からの贈り物を開ける。
そこには分厚いアルバムが入っていた。
「見ていいか」
「どうぞ、風太さんのためのだから」
パステルブルーの表紙を開けると、汰絽とむくと暮らし始めてからの写真が入っていた。
汰絽が日課にしてるむくの写真を毎日撮るのと一緒に撮られた写真のようだ。
三人で写ってる写真から、風太だけの写真、汰絽とふたりの写真、たくさんの写真がそこに入っている。
「ありがとう、ふたりとも」
汰絽とむくをぎゅっと抱きしめれば、ふたりから嬉しそうな笑い声が聞こえてきた。
Happy Birthday to feta
2016.05.05
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