Merry Christmas
もふもふ様 風紀委員会役員
「あっ、古道っ、見て、プレゼント…! ココが頼んでたの!!」
珍しく大きな声で話すココに、古道は思わず口元が緩んだ。
ココの指さす先には大きめなクリスマスツリーがあり、その鉢のすぐそばには赤いリボンが結ばれた箱が置かれていた。
「おっ、これ最新モデルじゃん」
ベッドから降りてパソコンの入った箱に口付けるココに笑い、古道もベッドから降りてココの隣に腰を下ろす。
古道のYシャツだけを身に纏ったココはパソコンからそっと離れて、古道に抱き付いた。
Yシャツ越しの体温が心地よくて、古道はココの背中を撫でる。
「こどう、メリークリスマス」
「ん、メリークリスマス」
軽くキスを交わしあう。
ココを抱き上げた古道は、そのまま立ち上がってカーテンを開けた。
カーテンの先には真っ白な世界が広がっている。
「わ、ホワイトクリスマスだね」
「そうだね。珍しいな、最近はクリスマスに雪なんて降らなかったんだけど」
息を吐きかけると窓は白く曇る。
指先で窓のくもりにいたずら書きをした。
クリスマスツリーの絵を描くとそのクリスマスツリーに飾りをつけるようにココが書き足していく。
そうして笑いあっていると、携帯電話が鳴った。
古道が電話に出るのを眺めながら、ココは古道に抱きついた。
古道の広い背中にキスをする。
軽く吸ってキスマークを付けて小さく笑うと、古道がココの手を握った。
「ああ、分かった。ココにかわるか? …そうか。じゃあ、夜な」
古道は電話を切ると携帯をベッドの上に投げた。
すっと離れたココは古道に両手を広げて見せる。
その手に呼ばれるように古道はココを抱きしめて額に口付けた。
「だあれ」
「飼い主様。夜、飼い主様の部屋でクリスマスパーティーしよだって」
「クリスマスパーティー? 副委員長様のケーキ食べれるかな」
「もちろんあるってさ。マカロンも作ってくれたみたいだよ」
「ふふ、うれしいね」
口元に手を当てて笑ったココは、首を傾げる。
髪がふわりと揺れてシャンプーのバニラのような甘い香りが香った。
藍色に近い黒い髪に口付けて鼻を埋める。
ココはそんな古道の仕草に吐息を零し、背中に爪を立てた。
「夜になるまで、する?」
「ん…」
小さく頷いたココを抱き上げて、ベッドの上に戻る。
真っ白なシーツの上で乱れる肢体に、たまらなくなった。
頬が林檎のように赤く染まる。
甘いバニラの香りが部屋の中に広がるように感じた。
部屋を出て、向かいの部屋に行く。
向かいの部屋は聖の部屋だ。
部屋をノックすると、ドアが開かれる。
「心路、古道、いらっしゃい」
「飼い主様」
聖が両手を広げると、ココは嬉しそうに駆け寄って抱き付いた。
心路を受け止めた聖はココを抱き上げて髪を撫でる。
柔らかな笑みを浮かべた聖に、心路は頬を染めて笑った。
「飼い主様、メリークリスマス」
「うん、メリークリスマス」
首筋にすり寄ってくるココに微笑み、聖は部屋の中に入るように促す。
クリスマス料理の良い香りを感じて、古道はお腹がすくのを感じた。
部屋に入ると、セイがソファーに座ってテレビを見ている。
「セイお兄様、メリークリスマス」
「心路、古道、メリークリスマス」
ココと古道にそういうと、セイは立ち上がり、キッチンへ行く。
キッチンからオレンジジュースと炭酸を持ってきて、グラスについだ。
ココは聖の腕の中から解放されると、セイに近寄ってきゅっと抱き付く。
「マカロン…」
「うん、用意してありますよ。夕飯を食べてからにしましょうね」
「うん、セイお兄様大好き」
「俺も心路が大好きですよ」
セイに髪を撫でてもらい嬉しそうに笑うココに、古道と聖は微笑んだ。
はじめようか、と聖の声が聞こえてきて、三人はソファーに腰を下ろしてグラスを持った。
「メリークリスマス!」
聖の声にグラスを軽くぶつけて、一口含む。
オレンジジュースの酸味の効いた味が口の中に広がり、ココはんーと声を漏らした。
「ローストビーフ、美味い」
「ん〜、おいしい。こっちのマリネもおいし」
「はは、古道と心路は食べさせがいがありますね」
「でしょう。僕の可愛い子たちはいい子だから」
料理を食べるココたちにふたりは笑いながら静かに料理を食べる。
それから、ひと段落ついた頃にセイはふたつのラッピングされた小箱を持ってきた。
「古道、心路、メリークリスマス。あなたたちの大好きなマカロンですよ」
「バニラ味、ある?」
「もちろん、他にいろんな味の物を作りましたから」
箱を受け取ったココは幸せそうにその箱を抱きしめた。
古道はそんなココに思わず笑い、ココの頭を撫でる。
「これは僕から。ふたりで残りの休み、遊んでおいで」
「わ…! これ、いいの、飼い主様」
「もちろん。お土産は買ってきてね」
「はいっ」
聖に抱き付いたココは、ありがとう、とお礼を伝えてから古道に笑いかける。
渡された飛行機のチケットを古道に渡して、チュッと頬にキスをした。
「ふふ、とっても幸せなクリスマス。Merry Christmas」
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