いいのかな
古道の腕のなかで目が覚めて、ココは胸が締め付けられた。
ぎゅっとしがみついて、キスを送れば古道が身じろぎする。
素肌が触れ合うのが心地よくて、もう一度目を瞑った。


「こら、二度寝しないの」

「んん〜、おやすみだからいいでしょ」

「今日は飼い主様と会議の予定だろ」

「ん」

ぎゅうぎゅうに抱きついて、古道にキスをする。
なんどもキスをしていると、ごろんとベッドに押し倒されてココは古道を見上げた。
古道の熱に手のひらで触れると、優しい笑い声が聞こえる。


「まだ時間あるから、しよっか」

「ん」

長い前髪をかき分けられ、額に唇が落ちてくる。
熱い瞳に見つめられ、ココも瞳がとろけてしまいそうだった。


汗と汚れを流してから、ふたりは風紀室へ向かった。
ゆっくりと歩いていると、曲がり角のところで最近知り合った後ろ姿が見える。
声をかけようと古道が歩き出した途端、言い争うような声が聞こえた。
足を止めて、古道とココはその声を聞く。


「…当分、顔も見たくない」

手を繋いで、話が終わるのを待つ。
向きを変えて歩いてきた光が、古道とココに気づいた。
気まずそうに顔を背けた光にココは小さく笑いかける。


「大丈夫?」

小さな声が尋ねると、驚いたように光が目を見開いた。
ココが話す姿が珍しいのか、まじまじと光がココを見つめる。


「元気になったのか」

「ん。ココはヘーキ。いつものことだから」

「ならいいんだが…。もうするなよ」

「ん。ひーくん」

「ひーくん」

「なんだその呼び方は」

古道とココが笑い合うのを見て光はため息をついた。
さっきまで張っていた気がゆるゆると溶け出して、光も笑う。
それから、古道とココを見た。


「気が抜けた」

「ひーくん、風紀に入ってくれればいいのにな」

「ね。楽しいよ、風紀委員。飼い主様優しいし、ね。ひーくんいたら絶対楽しいよ」

光の暖かい手を握ってココは笑った。
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