桜と片割れ
桜と一緒に、副会長の部屋に入った。
ソファーに真っ先に座った桜は、テーブルに綺麗に並べられたお菓子に嬉しそうに手を伸ばす。
桜を見ていると、その明るさに救われていた。
片割れを忘れられるかと思ってた。
でも、忘れるには桜じゃない。
桜ではダメなんだ。


「二先輩っ、早く食べよ!」

「ええ、今行きますよ、桜」

嬉しそうに笑う副会長と桜を眺めて、また、片割れのことを思い出す。
桜と一緒にいるようになってから、片割れと一緒にいる時間が減り、いつしか会話も減っていた。
これでいいんだ。
そう思う気持ちと、どうにもならない焦燥感が胸に溢れる。

副会長と笑いながらお菓子を食べる姿に、灯はため息が漏れそうになった。
漏らしてしまえば、桜に何か言われるかもしれないと思いのみ込んだ。
ここにいるのが、いつの間にか苦痛になっていた。




「ココちゃん、おいでー」

こくりと頷いたココは寮のリビングをパタパタと足音を立ててすぐにそばに来た。
ココを抱き上げて、背中をポンポンと撫でる。
柔らかな髪を指先で撫でて、ココの頬に頬ずりをした。


「柔らかい」

嬉しそうに頬ずりしてくるココに思わず笑う。
その声を聞いて、ココは目を見開いた。
古道の顔を見るとぎゅうっと胸を締め付けられる。
古道にしがみついて、耳元にキスをした。
誰にも聞こえないような声で囁く。


「えっちしたくなっちゃった…」

そう囁いたココの瞳がトロトロに溶けているのを見て、古道もその欲情につられる。
首筋に感じるココの柔らかい唇に、古道は熱が体を覆う感覚に酔った。
ココを抱えたまま、寝室へ向かい扉を開ける。
ベッドに小さな身体を下ろして、覆いかぶさった。


「どうしたの、急に、えっちしたくなっちゃうなんて」

「ん、あっ、首、」

「ココ…」

「あ、わかんない…っ」

何度も首筋にキスされる。
そのキスが心地よくて、溺れた。
蕩けたココの表情に古道は、目をほそめる。
細い足が古道の腰に周りぎゅっと締め付けた。


「わかんないよぉ…っ」

生クリームのように甘いココの声を聞きながら、古道はココの身体を貪った。
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